内容説明
南宋の宰相・秦桧は闇の中で戦いが終わってからのことを考えていた。そんな中、梁山泊の宣凱が岳飛を訪ね対話をする。岳飛は答えた。「中華を中華の民の国にしたい」と。一方、梁山泊の南の開墾地は本格的に始動。戦場では南宋軍の岳飛と金国総帥・兀朮が互いを求め、渾身の力を込めた激闘を繰り返していた。突然、秦桧から南宋軍に帰還命令が届く――。岳飛の決断とは。思惑が交錯する第五巻。
目次
九頭の宙
譲陽の火
響媛の宙
坤姚の火
天傷の夢
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
266
岳飛と兀朮の、意地の張り合いのような戦が前巻から長々と続き、長刀隊以降は目新しさもなく、ややうんざり。二度三度と読み返した時に気づける良さがあるような気もする。秦容の南方開拓や、韓成の西方進行パートは面白い。韓成の今後はかなり興味を引かれる。一方、笛で女を口説こうとして見事に撃沈した王清が、今度は不倫に手を出していた。王進先生は天国でどんな気分でいるのだろうか。しばらく蔡豹が出てきていないので、予想外の熱い展開が用意されているのではないかと期待してしまう。次巻ではいよいよ岳飛の史実と交差しそう。2022/02/23
しんごろ
164
岳飛と兀朮…。男が、これこそ理想という関係で憧れるであろう、ライバルを超えたライバルの向こう側に突き進んだ。二人が突き進んだそこには邂逅という言葉がピッタリだ。そして、戦場を仕事にする漢達から、散々、煙たがれてたあの漢。方臘戦の後、吹っ切れ、達観したようなあの漢が…。聚義庁で文官として立派に戦ったよ。まさに智多星だった。秦容、ついに成果をあげて収穫できた。交易が一気に加速しそう。史進よ!哀しみを持って前に行け。日本も絡んで、どうなるんだ。続きが気になるぜ!2019/06/28
眠る山猫屋
55
息詰まる岳飛とウジュの死闘に決着が着く。国と国の戦争なのに、個人的な死闘でもあった戦は時間切れとも云うべき結末を迎えた。ふうっ。各々の陣営のキャラクターたちが輝きだしてきたので、死者がでなかったことが嬉しいくらい。若手も成長してきたなぁ。幕間的な南方開拓団にほっこりさせてもらう。梁山泊では呉用の死を迎え、死者たちの思い出が語られるが、特に武松!武松を筆頭に読み返したくなってしまった。そして王清。虚無感なの?幼い鄭涼を連れてどこへ行く・・・。2018/12/27
ポチ
50
岳飛と兀朮の戦人としての意地や誇りを賭けた戦いが幕を降ろした。ふぅ〜、肩が凝ったなぁ。秦容も甘蔗糖が出来て、これからが楽しみだね。2022/03/21
sin
50
岳飛は漢民族の解放と云う大義の元に金の支配地深く攻め入り、ウジュは兵站線と云う弱点を視野に岳家軍を懐に誘い込む、決戦の時来るも互いになりふり構わず、ただ一騎討ちの勝敗に拘泥して、岳飛は自軍を省みない、ウジュは自身を捨て去って、両将闘いに酔いしれる。幕牽きは政治、それとも岳飛の抱いた自己満足への危惧、ウジュの夢みた全土征服への諦念か、それぞれの思惑が戦を納める。その頃、梁山泊は南に新天地を切り開く、梁山泊の拡散が始まる。2019/04/15