内容説明
長崎の港で海賊船に襲われた小学生の仲良し三人組は、何とか脱出したものの、南洋の島に流れ着き、サバイバル生活に入る。実はその島は……。『新宝島』は、小学生たちが智恵と勇気で難局を乗り切っていくスリリングな乱歩唯一の冒険探偵小説。他に、日常生活の疑問を謎解きする『智恵の一太郎』、大胆なアリバイ・トリックが光る『偉大なる夢』を収録。【この電子版は、註釈と「私と乱歩」を割愛しています】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
橘
27
「新宝島」「智恵の一太郎」「偉大なる夢」の3編が収められています。前二つは子ども向けでしたが、戦争の影響をひしひしと感じました。後ろの一編は、乱歩でもこんな作品を書かないといけなかったのか…と思うくらい戦争もののミステリーでした。エログロはありませんが、お話の運びは乱歩らしいな、と思いました。しかし戦争は小説にも大きく影響したのだな、と思います。2016/06/08
KAZOO
18
この巻には、表題作、「智恵の一太郎」、「偉大なる夢」が収められています。前2作は少年向けであり、冒険小説と科学知識に関するものです。子供向けですが科学の好きな人にはいいのかもしれません。私も楽しめました。最後のものは戦前最後の長編小説で、物資不足で紙が足りなくなって、途中で自分の意図したところとは異なる作品になってしまったようです。2014/07/21
道楽モン
15
太平洋戦争中に乱歩が書いた全3篇を収録。変名による少年物ですら、時局の影響が濃いのは仕方ない。乱歩名義の『偉大なる夢』は昭和18年執筆。政治力を駆使し、あからさまな大政翼賛小説という宣伝で、なんとか連載を果たした。間諜小説という大変身を宣言しつつ、後半ではやはり謎解きの乱歩作品となってしまうのが涙ぐましい程、純粋だ。これ以降、終戦に至るまで休筆。実生活では、隣組の防空活動やら町会役員やらで多忙を極めたとのこと。娯楽作品を許可しない軍国主義下では生きるために必死で、乱歩が日和ったと非難するのは厳しすぎる。2023/06/25
頭無
8
「新宝島」乱歩版ロビンソン・クルーソー。子供3人が大人に騙されて拐かされる定番の始まり。全編子供向けですが読み終えて頭に残ったのは必死に泳ぐポパイの顔でした。「知恵の一太郎」科学小話。内容は可不可なし。やはり子供向け。「偉大なる夢」スパイもの。内容はそれなりですが乱歩の良さは皆無。コレステロール0のマヨネーズみたいで残念。でも乱歩は悪くない、悪いのは戦争です2021/11/20
ひで
7
うーん、何となく?。2017/09/10