内容説明
秘蔵のスクラップブック『貼雑年譜』を縦横に駆使、リアルタイムの資料を通じて、探偵作家たちとの交友・論争、創作の苦悩などを克明に綴った乱歩自伝の決定版。本書を読まずに、日本のミステリーは語れない。上巻には、デビューから少年ものに着手したころの昭和12年度までを収録。【この電子版は、註釈と「私と乱歩」を割愛しています】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
39
2分冊ですが、註や書誌が約4分の1を占めています。ですので乱歩を調べようとする資料としての価値が大きいものと思われます。自分の子供のころから編年体で上巻は昭和12年頃までが書かれています。話し言葉で書かれているので、読みやすくすんなり読める気がします。ただやはり内外の探偵小説家の名前などがわかっていることが条件になるでしょう。2015/01/18
ホームズ
25
探偵小説に対する情熱というか当時の作家さんたちの色んな動きや考えが分かって面白いし、それぞれの繋がりとか割りと曖昧だったんだけどその辺りも分かりやすくなった。写真や註もたくさんあって資料として良いですね。2016/06/11
風見鶏
3
卒論の参考文献。大いに役立つ一冊だった。当時の探偵小説界が窺える。2014/12/18
いちはじめ
3
ほとんどライフワークと化している乱歩の回顧録のこれが最終進化形態。この光文社文庫版では、乱歩の間違いを煩いくらいに細かく指摘してあるので資料的な価値は高いといえるが、いささか無粋な気もしないではない。2011/10/08
まんたろう
2
乱歩の回顧録的作品の前半。 全集既刊の評論を読むと、乱歩の主張は一貫している印象が強かったが、編年体の本書では乱歩自身の心の浮き沈みが反映されていて面白かった。 「探偵小説が犯罪を助長している」と名指しされている新聞記事への憤りがちょこちょこあり、いつの時代も同じだなと。 汽車、駅、そこを行き交う人々に関するエッセイ「旅」に共感。2023/12/24