内容説明
実業家・羽柴壮太郎のもとに、恐ろしい予告状が届いた。昨今世間を騒がせている怪盗、「二十面相」からの予告状である。狙われたのは、羽柴家が所蔵する、ロマノフ家の王冠に由来するダイヤモンド。羽柴家は、ありとあらゆる防備を施すが……。(「怪人二十面相」)江戸川乱歩初の少年ものである「怪人二十面相」と、長編「大暗室」を収録。【この電子版は、註釈と「私と乱歩」を割愛しています】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
90
「大暗室」は映像受けするだろうなぁという印象でした。一方で、「怪人二十面相」は「大暗室」とは打って変わって楽しい作品でした。読中でああこうなるだろうなとか、これはきっとこうなんだろうなと割かし分かってしまうのですが、それでも楽しいのは作者の筆力なんだろうなと思いました。2023/01/21
KAZOO
21
「怪人二十面相」「大暗室」と二つの長編が収められています。前者は昔子供のころに読んだのを思い浮かべました。ラジオでもやっていましたので印象が非常に強いのですが、今回読み直してやはり子供向けということがよくわかりました。また大暗室のほうも子供向けで読んだのですが、ここに収められているものとはかなり異なっているのではないかと思いました。エンターテイメントとしてはかなり楽しめました。2014/06/09
TomohikoYoshida
18
「怪人二十面相」と「大暗室」の2作を収録。「怪人二十面相」は小学生のときに夢中になって読んだので、読み進めるうちにストーリーを思い出してくる。と同時に、自分が読んだポプラ社のシリーズでは、「満州国」や「陸軍省」といった単語は出てこなかったなぁと思い、珍しく解題をじっくり眺めたりした。「大暗室」は、正義と悪の戦いという設定なのだが、悪人のほうが地底に自分の国ともいえる巨大施設を作り出すという乱歩らしい世界が広がっている。乱歩はとにかく面白い。最近はこのシリーズばかりを読んでいる。2021/09/11
歩月るな
18
「そうです。僕はここに悪魔の国を打建てたのです。暗黒の世界に君臨したのです。そして地上の現実世界に向かって一大戦闘を挑んでいるのです」大魔王バーン様かな? ですますで語られるゆえに少年もの『怪人二十面相』を読み終わってからというもの、『大暗室』がなかなか読み進められず困っていたのだが、戻ってみると、乱歩的には時期的に多く読まれた最後のモノと言うことで、だんだん筆が乗ってきてやりたい放題に走ってきた辺りからようやく(ラン子登場の辺り)第二幕な展開になり漸く、でもコレも明智さんも存在する次元らしいんですよね。2021/04/02
水生クレイモア
13
勧善懲悪ものの作品でありながら雰囲気の明るさが対照的な長編が2本収録された第10巻特に大暗室は陰鬱さと大仕掛けのコントラストが映像映えしそうである。2023/04/30