内容説明
著者最後の力作短編、書簡体の異色作「堀越捜査一課長殿」。少女探偵マユミ、ポケット小僧と役者も揃って、少年探偵団シリーズ後半期への突入を飾る「妖人ゴング」「魔法人形」、二十面相の本名が明かされる「サーカスの怪人」に、入手困難な学習雑誌発表の2短編を加える。【この電子版は、註釈と「私と乱歩」を割愛しています】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
79
表題作について。独白文と来たら否応にも先が分かってしまうのがちと残念。特に乱歩読者なら尚更と言った所ではないでしょうか。しかしながら、独白文ってのは迫力ありますし、息もつかぬほど読み入ってしまいます。また、細君の件は私にハッとさせられ、こういう瞬間を味わうために読書をしていると再認識させられました。2023/05/04
道楽モン
35
昭和31年(乱歩62歳)に『オール読物』発表された表題作のみ一般作。少年探偵団『妖人ゴング』『魔法人形』『サーカスの怪人』3作に「たのしい三年生」連載の子供向け2作を収録。昭和32年に書かれたこの5篇は4誌に同時連載をしたもの。もう少年少女向けに振り切って印税を稼ぎ、推理小説研究と自身が編集長である雑誌の方にエネルギーを注ぐ決意をしたらしい。少年探偵団はレギュラーに加え、新たに少女団員も参加。これ以降も継続して書かれる小説は少年モノばかり。新保博久氏による怪人二十面相の本名にまつわる解説が、とても面白い。2024/07/04
KAZOO
24
表題作を含む中編が6つ入っています。表題作は若干大人向けだと思いますが、それ以外は子供向けの本です。ただ昔読んだ覚えがほとんどなく、楽しく子供感覚に戻って読みました。それにしてもよくよくこのような本をたくさん書き上げたと感じます。二十面相も出てきます。2014/10/06
不見木 叫
15
表題の「堀越捜査一課長殿」と少年探偵団もの5編。全集の構成上仕方ないがやや食傷気味。表題作は好みの短編。2024/11/12
頭無
8
「堀越捜査一課長殿」一人二役もの。作者が言うほど失敗作ではない。「妖人ゴング」小林を死ぬ可能性のある罠にかける二十面相。二十面相も明智の罠にかかり死にかける。結構な死闘回。「魔法人形」二十面相珍しく金銭要求。「サーカスの怪人」団長争いに負けた遠藤平吉がサーカス団を飛び出し二十面相に。「まほうやしき」「赤いカブトムシ」魔法博士(雲井良太)と探偵団の宝探し対決。ピストルを渡す明智、撃つ小林少年、褒める明智。全部ダメだろう2022/12/30