内容説明
芸術を極限まで引き上げた、この世の楽園を夢見る男が、ひょんなことから世にも恐るべき計画を立て始める。その果てには……。奇想の決定版といえる表題作と、のぞき眼鏡に映った浴場の惨劇の謎とは?……「湖畔亭事件」、初の新聞連載「一寸法師」、他に「闇に蠢く」、「空気男」を収録。【この電子版は、註釈と「私と乱歩」を割愛しています】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
88
標題作について。「狂気」と「幻想」によって生成された狂幻的な『美』の描写が圧巻で、酔いました。エログロな陸上よりも海底回廊の描写が特に秀逸で飲み込まれます。なんだかスゴイ疑似体験をしてしまいました。2024/08/03
i-miya
52
2011.11.02 (カバー) 1. M県I湾に浮かぶ沖の島に突如として出現したものは?富豪菰田源三郎と瓜二つの小説家人見広介。源三郎の死、なりすまし。財産。空想していた夢のパノラマ島を作った!そこで展開される妖美な幻覚ともいえる怪奇談。正体は見破られたか、誰に。(江戸川乱歩) 1895-1965。『白昼夢』(T14)、『鬼』(S06)、『火縄銃』(S07)、『接吻』(T14)。2011/11/02
みくろ
45
乱歩の初期長編5作収録。『パノラマ島綺譚』のみ再読。やっぱり乱歩の世界観大好きです。たとえ変態的であろうが、未完であろうが、辻褄があわないところがあろうが、もうそんなこと関係ないぐらい、ただ読みたい!好き好き好き…!とこっちまで狂気的な気分になってくる。個人的には『闇に蠢く』が気に入りました。乱歩の作品は読み初めの部分と後半部分の変化がもの凄いんですよね。おそらくそれは彼自身が結末を考えずに書いていたからだと思うのですが、(まあ編集者泣かせではあるけど…)計画的でないからこそ予想できなくて面白いです。2015/10/24
KAZOO
25
やっと第2巻を読み終わりました。この巻にはこの表題作といくつかの短編集が収められています。本当に読んでいるとこの乱歩ワールドにどっぷりとつかりこんだ気がします。特にこの巻には私の好みというか非常にグロテスクながら、何かひきつけてやまないものがあります。とくに一寸法師のシリーズが好みです。2014/03/20
猫丸
19
文学の伝統において「類型」を作り出すには、その表現がよほどの衝迫力を持たねばならない。初期乱歩が宇野浩二の影響下にあったことは本人も認めるところだが、今回は漱石の影響が目についた。「闇に蠢く」は鄙びた温泉宿が舞台である。入り組んだ宿の廊下を彷徨い歩く野崎三郎は「明暗」において吉川夫人に唆されて湯治に出掛けた津田をなぞる。突き当りの鏡に驚かされるところも同じ。「パノラマ島綺譚」の幻想的沼に椿の花が落ちかかるところは、そのまま「草枕」。場面の鮮やかさ、象徴性に富む漱石表現もまた乱歩形成の要因であると見える。2018/11/02
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