内容説明
殺人を犯したシナリオ・ライターが最強完全なアリバイで完全犯罪を作り上げようとするが、その先に待つのは――。表題作「月と手袋」と、乱歩自身が“私の体臭が濃厚な”という「影男」、そして少年探偵団の活躍が痛快な2編「灰色の巨人」、「黄金の虎」を収録。【この電子版は、註釈と「私と乱歩」を割愛しています】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
82
表題作について。ハナダ警部の犯人の追い詰め方がエグイ、マジでエグイ。しか裏を返せば、一日でも早く自首してほしかったという優しさだったのではないかとも取れました。2023/02/01
KAZOO
25
影男は大人用で乱歩も言っているように、「パノラマ島奇談」「大暗室」の二番煎じにすぎない、しかし乱歩は「自分の体臭のもっとも濃厚なもの」とも言っています。まあ結構好き嫌いの分かれる作品でしょうね。表題作は倒叙小説。後の2作は少年ものです。読んでいると対話が多いのでむかしのラジオの少年探偵団を思い起こします。2014/09/08
道楽モン
17
1955年の作品集。この年は乱歩先生の還暦執筆宣言を実行するべく生涯で一番作品を生み出したとのことで、「解説」にて55年製作品の詳細が述べられています。これがこの巻の白眉(汗)。一般向けの長編それぞれにテーマや力の入れ具合が異なっているのが顕著に判る。まあ、常に100%全力投球は無理だ。表題作は倒叙ミステリ、『影男』はセルフ・オマージュ満載の乱歩節炸裂の楽しい作品。これ勿論、作品としては破綻してますが、これでもかという位に乱歩の趣味が詰め込まれており、明智小五郎がオマケに見える程。少年モノも2作収録。2024/01/15
頭無
7
「影男」悪党3人入り乱れ。明智登場で(略)。「月と手袋」倒叙ミステリー。明智は名前だけの出演。ナマハゲがくるぞー的な効果で震える犯人。「灰色の巨人」化けるのはもちろん二十面相。そしていつも通り明智に遊ばれGO to 警視庁。宝石店と園井邸から小人が消えたトリックの説明がない。「黄金の虎」探偵団と雲井良太(明智公認)による知恵比べ合戦。ノロちゃんを叱責しまくる小林。テヘペロで乗り切るノロちゃん2022/06/09
ゆきだるま
5
好みの問題だけど、収録のなかでも人が傷つかない作品がいいな。(差別的表現は気になるけど)2022/02/26