内容説明
ひょんな事から知り合いになった人妻から奇妙な相談を受けた私。それは元恋人であり探偵作家の男から復讐予告の手紙がたびたび来るというものだった。その復讐の内容とは? そこから発展してくる恐るべき犯罪とは!? 表題作の他、初期乱歩の傑作を数多く収録する一巻。【この電子版は、註釈と「私と乱歩」を割愛しています】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Vakira
55
陰獣とは影に隠れて獲物を狙う獣の事。しかし、この物語は内容からすると「淫獣」とした方が適正でしょう。「淫」には、あふれる、みだら、おぼれる、ほしいまま、との意味があり、この物語にピッタリ。乱歩さんは実は女性だった説浮上。乱歩さんがモデルの推理小説家がこの物語のKey。嬉しいのは犯罪トリックが「屋根裏の散歩者」「D坂の殺人事件」「一人二役」の作品からもろに使用されているところ。D坂ですから勿論ヒロインはマゾヒズムで裸体に鞭で叩かれ快楽を覚える美女。そして男女の目合いを観察する屋根裏の散歩者だって登場します。2025/05/18
KAZOO
21
短篇中編織り交ぜて乱歩ワールド全開で楽しませてくれます。かなり有名な作品が多く、何度か読んだのもありますが、映画にしやすいのか映画でも見たものがありどれもわくわくドキドキしながら鑑賞しました。まだ3巻目ですが乱歩の毒気がよく出ていると感じました。2014/03/28
不見木 叫
16
変格ものが多い印象の第3巻。未読の中では「踊る一寸法師」、「覆面の舞踏者」、「灰神楽」、「人でなしの恋」が私的ベストです。2022/11/19
ヴィオラ
15
楽しいんだけど、結末がなんだかとっ散らかっちゃうとか、蛇足とも思える展開があったり…小説の完成度的な観点で見ると、僕には合わないかも…と、一抹の不安を感じていたんだけれど、「毒草」を読んで不安一掃、安心しました。乱歩さん的に(一般的に)評価は高くないかもだけど、個人的には大好きな短編でした。2025/10/15
るか
15
★★★☆☆江戸川乱歩のエログロで蠱惑的な世界観が全開であった。その雰囲気に惹き込まれながらも当時の障害を持つ人々への世間認識が伺えて少し心苦しくも感じた。印象深いのは「踊る一寸法師」、「芋虫」。2016/08/26




