内容説明
空襲下の東京、青年が陶酔した夢のようなロマンスの皮肉な結末とは?――戦後を代表する傑作短編「防空壕」、巨匠がデビュー30年目にして初めて書き下ろし、新境地に挑む表題長編、唯一の時代小説と、乱歩の意外な魅力を伝える3編に、おなじみ小林少年らの活躍する3編を収録。【この電子版は、註釈と「私と乱歩」を割愛しています】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
77
表題作について。またお会いしましたね、ハナダ警部。今回もエグイのかと思いましたが、予想した通りの人情警部ですね。遂にファンになってしまいましたよwww。で、本作ですが複数の偶然が重なり合って、そりゃあねぇだろ、というレベルwww。しかしこれも作品の醍醐味と思えばいと楽し、でした。またお会いましょう、ハナダ警部。2023/03/12
KAZOO
29
この巻には、短編「防空壕」「大江戸怪物団」「天空の魔人」と中編「十字路」「魔法博士」「黄金豹」が収められています。表題作はダムの底に沈む村をうまく使っていると感じました。短篇ですが「防空壕」も乱歩のものにしては味がある短編であると感じました。2014/09/21
道楽モン
28
後期の傑作『十字路』は1955年の書き下ろし。ただしプロットは渡辺剣次による。作品として読み応えがあるので読者には問題ない。叙述ミステリーで、乱歩臭はゼロに近い。翌年の映画化『死の十字路』も秀作です。登場人物の売れない画家が池袋モンパルナス辺り(現在の豊島区千早)に住んでいるとの記述があり納得。乱歩邸にも近い。少年探偵モノも3作収録。井上君とノロちゃんが準レギュラー化。現在から見れば唯のコスプレ愉快犯である怪人二十面相の暴走っぷりが可笑しい。嗚呼、心躍らされていた我が少年期よ。2024/02/27
頭無
13
「十字路」プロットは渡辺剣次。面白いけど乱歩らしさはほぼ無い。「魔法博士」二十面相の目的は明智の誘拐。魔法の半分がニセの井上少年とノロちゃん。二人の役割が大き過ぎ。「黄金豹」色々な爺に化ける二十面相。なぜいつも爺なのか。明智夫人は高原療養所にいるので設定は晩年か。黄金豹を尾行した先に猫娘と猫夫人。豹から格下げ。「天空の魔人」小林少年の事件簿。引き立て役で井上&ノロ登場2022/10/13
おさむん
5
★★★☆☆ 「防空壕」は、確か漫画で読んだ気がします。「十字路」は、事件が交錯し、少しずつ追い詰められていく感じが、面白かった。初読みですが、初期の作品と並ぶ傑作、と思ったのですが、ストーリーを考えたのは乱歩ではないのですね。残念・・・2021/12/03