内容説明
市兵衛、愛情ゆえに断ち切れた、父子の絆を紡げるか!
利根川の利権争いの絶えない我孫子宿近在で、二組の父子を陥れた悪夢とは!?
唐木市兵衛は我孫子宿近くの村を訪れていた。小春の兄の又造が、妹と≪鬼しぶ≫の息子・良一郎との縁談を知り家出したのを、迎えに出たのだ。
ところが、又造は訪ね先の親戚ともども行方知れずだった。同じ頃、村近くで宿の貸元と、流れ者の惨殺体が発見された。近在では利根川の渡船業等の利権争いで、貸元たちが対立していた。
市兵衛は失踪人探索を始めるが……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とし
79
風の市兵衛 弐「春風譜」 31巻。小春と鬼しぶの息子良一郎との縁談を知り、兄の又造が家出をした事から、市兵衛が又造を探すことに、色々と事件に巻き込まれますが、淡々と事をなすブレないですね。2023/01/01
やま
72
江戸で旗本家の勘定(経理)を見る渡り用人・唐木市兵衛の活躍の物語。扇作りの職人左十郎は、15年前に大阪の遊郭から3才の美しい小春を買って、ゆくゆくは息子又造と夫婦にと思って我が子として慈しんで育てた。又造は、美しく育った小春と祝言を挙げることを楽しみにしていたが。小春は、北町奉行所見習同心の渋井良一郎と惚れ合っている。左十郎は、又造にそのことを話すと激怒して家を出て従弟の南吉の所へ向かう。小春は、心配で唐木市兵衛に又造を探し出して心のうちを聞いてくれるように頼む。🌿続く→2022/08/04
真理そら
60
小春と夫婦になると信じていたのにそうではなくなったことに傷ついて家出してしまった又造。まったく粋でもなければ親分肌でもないやくざの親分登場。つまり今回の敵役は小物感が凄くて魅力に欠けた。でも最後の市兵衛さんのパフォーマンスが「風の」っぽいものだったのですっきりした気分で読み終えた。2022/06/19
ひさか
27
2022年6月祥伝社文庫刊。書き下ろし。弐シリーズ11作目。通算31作目。人の想いというかそういうドロドロなところから失踪した又造を探すことになった市兵衛さん。どうなるのかと心配したが、ラストは爽やかな市兵衛さん流の解決に納得。2023/09/26
ぶんぶん
27
【図書館】市兵衛さんのシリーズ、第31弾! 相も変わらず、御人好しの市兵衛さん、今度は人探しで安孫子宿まで。 ところが、訪ねた先はもぬけの殻。 尋ね人も疾走していた。 急遽、探し訪ねるが、貸元と流れ者の死と関わり合いはあるのか。 やくざの親分に行き着くが、のらりくらりと判らない親分で・・・飄々とした市兵衛さんが殴り込みをかける時、強さを判らない相手に自然体がカッコいい。大した話ではない処が市兵衛さんらしくて良い。帯のアオリ文句ほど強烈なシーンは無い 淡々と解決してしまった感じ、鬼渋も最後にちょこっと(笑)2022/09/22