内容説明
廃業した元関脇がひっそりと江戸に戻ってきた。
かつて土俵の鬼と呼ばれ、大関昇進を目前にした人気者だったが、やくざとの喧嘩のとばっちりで江戸払いとなった。それが15年後、離ればなれとなっていた妻や娘に会いに来たのだった。
一方、“算盤侍”唐木市兵衛は、御徒組旗本のお勝手たてなおしを依頼された。
元力士、旗本やくざ、水茶屋の女がいつしか交錯し……。
時代小説界話題のベストセラー「風の市兵衛」シリーズ、哀切の第16弾!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とし
115
風の市兵衛「秋しぐれ」16巻。喜楽亭のいつものメンバーもたいしてからまず、兄の片岡信正も弥陀ノ介は登場もせず、市兵衛さん算盤は使うが風の剣が少しだけ、ちょと消化不良で~す、算盤勘定もマイナス収支だったのでは。 2016/06/16
のびすけ
31
今回の市兵衛さんの仕事は、御徒組旗本・竹崎家の借金のかけ合い。市兵衛の算盤勘定と交渉の手腕が冴える。市兵衛が竹崎家の仕事を進めるうち、かつてやくざとの喧嘩で江戸払いになった元江戸相撲の関脇「鬼一」とその娘お秀の存在が大きく関わってくる。毎回色んな一面を見せてくれる市兵衛さんだけど、今回は元力士と相撲を取る市兵衛に驚き!鬼一とお秀のお互いの想い、本音を伝えられない不器用さがとても切なかった。満身創痍の鬼一と又右衛門の真剣勝負。最後に又右衛門が見せた男気には感動した。鬼一へ送る甚句に涙が溢れた。面白かった!!2021/12/09
ベルるるる
28
シリーズ16作目。最近、ちょっと中だるみ感があったけど、今作は素晴らしかった。 前半は、算盤侍として市兵衛はパチパチと算盤をはじいて、お金の損得勘定をする。後半は、市兵衛の風の剣が舞う。人生を小さなきっかけで狂わせ、家族の人生も狂わせ、娘には許さないと言われてしまう哀れな年老いた相撲取りの男。それでも男は娘の為に命をかける。市兵衛の剣もこの哀れな悲しい男の命を救う事はできない。相撲甚句に涙。2016/04/04
み
27
さくさくと♪久しぶりの市兵衛さん、お兄さんが登場せず、ちと残念(>_<)剣とも算術ともなお話しでしたが楽しめました。この頃、栄三さんを読んでるからか、空気が重たかった…。2016/03/24
ひさか
26
2015年10月祥伝社文庫刊。書下ろし。シリーズ16 作目。請け負った、旗本の借金処理や、元関取と生き別れた娘との仲を取り持ったりする市兵衛。任侠、義理人情世界のストーリー展開が面白い。市兵衛の興福寺での修行の一端が伺える、相撲勝負の描写が興味深い。2018/07/23