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【じんぶんや第56講】 福岡伸一選「いのちを旅する本」

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福岡伸一さんエッセイ

jn56_fukuoka.jpg 生物学者になる前、私は昆虫少年だった。夢は新種の蝶を捕えて命名し、それを図鑑に記載することだった。しかし新しい蝶など見つかるはずもなく、私の夢は夢に終わった。年を経て、私は捕虫網をミクロな実験装置に持ちかえて、遺伝子ハンターとなった。細胞の内部に分け入ると、そこにはさらに未知の森が広がっており、採集する遺伝子はどれも新種だった。

 私が発見した遺伝子のひとつにGP2がある。GPとはグリコプロテインの略で、重要な働きをしている遺伝子に違いないと目されたが、肝心の機能はさっぱり不明であった。そこで私はGP2遺伝子ノックアウトマウスを作製した。ゲノムからGP2の情報だけを消去する操作を行い、そこから実験用マウスを誕生させたのである。このマウスは、GP2を作り出すことができない。それゆえ、このマウスに生じる異常を調べるとGP2の役割がわかる。そういう作戦だった。ところが生まれてきたマウスは全くもって健康だった。いくら調べても異常は見つからなかった。

 これはまさに生命の「動的平衡」のなせるわざである。そう私はさとった。欠損や問題点があっても他の要素やしくみが働いてそれを補うように平衡を保つ。それが生命の持つもっとも重要な特徴だ。機械論的に生命を見ると動的平衡を見失いがちになる。

 とはいえ動的平衡も完全ではない。危ういバランスの上にある。ごく最近に、GP2遺伝子ノックアウトマウスの問題点が明らかになった。消化管経由の細菌に対する防御が弱くなっていたのだ。実験室のマウスはクリーンな環境で飼育されているので、細菌感染におけるGP2の役割が分からなかったのである。この発見は、科学専門誌ネイチャーに掲載された。

 生命の動的平衡は、柔軟で可変的であるとともに脆弱なものでもある。そのような生命のふるまいを今後とも研究していきたいと私は思う。

【福岡伸一】


福岡伸一(ふくおか・しんいち)さんプロフィール

1959年東京生まれ。京都大学卒。米国ハーバード大学医学部博士研究員、京都大学助教授などを経て、現在、青山学院大学理工学部 化学・生命科学科教授。分子生物学専攻。専門分野で論文を発表するかたわら、一般向け著作・翻訳も手がける。著書に『もう牛を食べても安心か』(文春新書、科学ジャーナリスト賞)、『プリオン説はほんとうか?』(講談社ブルーバックス、講談社出版文化賞)、『ロハスの思考』(ソトコト新書)、『生命と食』(岩波ブックレット)、『できそこないの男たち』(光文社新書)、『動的平衡』(木楽舎)、翻訳に、ライアル・ワトソン著『エレファントム』、『思考する豚』(ともに木楽舎)など。"生命とは何か"を動的平衡論から問い直した『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)は、科学書としては異例の65万部を超えるベストセラーとなり、2007年度サントリー学芸賞および、中央公論新書大賞を受賞。今年7月に、その続編として発売された新刊『世界は分けてもわからない』(講談社現代新書)も話題を集めている。環境雑誌『ソトコト』や『週刊文春』など、雑誌での連載も好評。


福岡伸一さん選書コメントつきブックリスト

生命とは何か 物理的にみた生細胞

生命とは何か 物理的にみた生細胞

エルヴィン・シュレ-ディンガ-、岡小天 / 岩波書店
2008/05出版
ISBN : 9784003394618
価格:¥777(本体¥720)

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福岡伸一さんコメント この本を読んだことによって、若い研究者たちは生命現象を解き明かそうと躍起になった。そしてDNAの二重らせんを解明する偉業を成し遂げた。なぜなら、シュレーディンガーはここで二つの失敗をしてくれたから。本書が書かれた1944年当時、まだDNAはどういうものか誰もわかっていなかった。彼は、遺伝情報になっている物質としてのDNAはきっと不規則な結晶構造を持っていると予言した。でも、大ハズレだった。
もう一つ彼は、大きな誤りを犯した。生命の秩序を維持できるのはなぜかという問いに考えを巡らせた挙句に......。
だが、その失敗はどちらも重要な失敗だった。彼の大失敗を改訂するものとして、二十世紀の分子生物学が幕開けしたのは間違いないのだから。
(『COYOTE No.33』より転載)

生命を捉えなおす 生きている状態とは何か

生命を捉えなおす 生きている状態とは何か

清水博(生命科学) / 中央公論新社
1990/10出版
ISBN : 9784121905031
価格:¥1,015(本体¥940)

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福岡伸一さんコメント シュレーディンガーの『生命とは何か』以降、世界中のあらゆる科学者が生命の本質に向き合い、あらゆる著書を発表していった。そのなかで、はじめて生命とは何かという問いに真っ向勝負で挑んだ日本人は、まちがいなく清水博だった。
生命現象とは、その物質自体に基盤があるのではない。物質と物質の関係性に基盤がある。そこに参画している要素を清水は「関係子」という魅力的な名前で呼んだ。関係のあり方の例を挙げながら、関係子という問題から生命を捉えなおす。それは必ずしもすべてが正しいというわけではなかった。それでも、学者生命をかけて、彼は声を上げたのだ。これから学者として身を立てていこうと思っていた私の出発点にあったモニュメンタルな一冊。
(『COYOTE No.33』より転載)

利己的な遺伝子

利己的な遺伝子

リチャ-ド・ド-キンス、日高敏隆 / 紀伊國屋書店
2006/05出版
ISBN : 9784314010030
価格:¥3,024(本体¥2,800)

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福岡伸一さんコメント 生物は遺伝子にしてみたら単なる乗り物に過ぎない。遺伝子はそれが便利だから乗っかっているだけで、固体は乗り物に過ぎない。「●●は、▲▲に過ぎない」という言い切り方は、いつの時代も青年を熱狂させる。そして、それは過激であればあるほどかっこいい。本は常に何かを言い切っては、新しいアイデアを示してくれる。だが、差し出されたものにただ身を委ねてしまっては、冒険ではなくなるだろう。ドーキンスのかっこよさを目の当たりにした大学生の私は、なんとか彼を越えたいと思った。
(『COYOTE No.33』より転載)

ゲ-デル,エッシャ-,バッハ あるいは不思議の環

ゲ-デル,エッシャ-,バッハ あるいは不思議の環

ダグラス・R.ホフスタッタ-、野崎昭弘 / 白揚社
2005/10出版
ISBN : 9784826901253
価格:¥6,264(本体¥5,800)

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福岡伸一さんコメント 今から冷静に考えてみると、この本は壮大な戯言でしかない。
エッシャーの絵、バッハの楽譜、コンピュータの自己言及性......博覧強記、言葉の羅列。天才少年とあがめられた著者が若さにまかせて書きました、という本。
だが、80年代当時、この本には皆を熱狂させるペダントリーが、知的なかっこよさが詰まっていた。「ここに何かがある」。そう皆を信じ込ませるような力があった。
(『COYOTE No.33』より転載)

ミトコンドリアが進化を決めた

ミトコンドリアが進化を決めた

ニック・レ-ン、斉藤隆央 / みすず書房
2007/12出版
ISBN : 9784622073406
価格:¥4,104(本体¥3,800)

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福岡伸一さんコメント 細胞の中のミトコンドリアは、酸素を使ってエネルギーを生み出している。
そのミトコンドリアの内部共生が、生物の誕生を可能にしたというセオリーは、専門家のあいだでも長年の間、特異な現象として扱われてきた。人類の進化に、それほど影響を及ぼしていたとは...。生命の歴史をミトコンドリアを通して語り直すという大胆な書。いずれは反証が出てくるだろう。それでも、今、言い切るという大胆さは冒険に値する。

系統樹思考の世界 すべてはツリ-とともに

系統樹思考の世界 すべてはツリ-とともに

三中信宏 / 講談社
2006/07出版
ISBN : 9784061498495
価格:¥907(本体¥840)

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福岡伸一さんコメント この世界にあまた存在している多種多様の生物を分類したい。その進化の道筋をたどってみたい。つまり世界をくまなく記述しつくしたい。これは生物学者のもっとも根源的な問いかけであり、かつ本質的な欲望でもある。しかし、それを極めていくと私たちは奇怪な迷宮にとらわれていく。画期的な哲学書としても読める。

ハチはなぜ大量死したのか

ハチはなぜ大量死したのか

ロ-ワン・ジェイコブセン、中里京子 / 文藝春秋
2009/01出版
ISBN : 9784163710303
価格:¥2,057(本体¥1,905)

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福岡伸一さんコメント 近代農業のもとで、ミツバチは完全に機械の一部となっている。そのハチに謎の奇病が襲いかかった。『沈黙の春』の現代版ともいえる一冊。

ダ-ウィンのジレンマを解く 新規性の進化発生理論

ダ-ウィンのジレンマを解く 新規性の進化発生理論

マ-ク・W.カ-シュナ-、ジョン・C.ゲルハルト / みすず書房
2008/08出版
ISBN : 9784622074052
価格:¥3,672(本体¥3,400)

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福岡伸一さんコメント ダーウィンは正しかったが、生命のすべてを説明できてはいない。複雑なデザイン性を示す生命のしくみのなりたちを、現代生物学はどのように語りうるのか。最新の到達点を示した労作。

非線形科学

非線形科学

蔵本由紀 / 集英社
2007/09出版
ISBN : 9784087204087
価格:¥820(本体¥760)

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福岡伸一さんコメント 動的平衡を考えるとき、避けて通れないのはシンクロ現象である。ホタルの発光の同調、脳波の同調。数式を使わず同調現象の原理を解説した好著。

黒死病 ペストの中世史

黒死病 ペストの中世史

ジョン・ケリ、野中邦子 / 中央公論新社
2008/11出版
ISBN : 9784120039881
価格:¥3,456(本体¥3,200)

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福岡伸一さんコメント 14世紀末、ヨーロッパ人口の3分の1を奪った謎の疫病の迫真ドキュメント。

アンドロメダ病原体

アンドロメダ病原体

マイケル・クライトン、浅倉久志 / 早川書房
2012/04出版
ISBN : 9784150412548
価格:¥1,080(本体¥1,000)

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福岡伸一さんコメント 人間が想像する地球外生命体は常に擬人化された何か、人間のかたちを模した何かである。『未知との遭遇』や『E.T.』といった宇宙人とのコンタクトを描いた映画でもそれは明らかだ。だが、この小説の地球外生命は違う。宇宙に生命があるとしたら、それは私たちが生命体と認識できないものかもしれない。しかしそれが街を全滅させたのだ。中学生の私は衝撃を受けた。そういう生命のあり方もあるんだ! 虚を突かれ、先を越された気がした。クライトンの出世作。
(『COYOTE No.33』より転載)

ペツェッティ-ノ じぶんをみつけたぶぶんひんのはなし

ペツェッティ-ノ じぶんをみつけたぶぶんひんのはなし

レオ・レオニ、谷川俊太郎 / 好学社
1978/06出版
ISBN : 9784769020073
価格:¥1,572(本体¥1,456)

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福岡伸一さんコメント 生きるってどういうこと? 生命誕生以来の大問題であり、永遠の謎である。それを説明するためにあらゆる学問はある。そして、ある端的なかたちで答えを提示してみせたのが本書。レオ=レオニは、生命の部分と全体を考える上で私が書こうとしているモチーフを、誰よりも鮮やかなかたちで語っている。
(『COYOTE No.33』より転載)

さよならトンボ

さよならトンボ

石亀泰郎 / 文化出版局
2002/06出版
ISBN : 9784579404117
価格:¥1,620(本体¥1,500)

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福岡伸一さんコメント トンボの一生を紡いだこの写真集は、センチメンタルでもなければ、啓蒙的でもない。生命とは何かを端的に表している。圧巻なのは、表紙にも使われている写真。ある冬の寒い朝、連なって枯れ草にとまっているトンボたち。そこにはすでに命はない。 凍てついて死んでいるトンボたちがこれほど美しいのはその運命をまっすぐにうけいれているからだ。最後のページは、生命の循環を示唆しつつ、固体の死が一回限りのものとしてあることを教えてくれる。
(『COYOTE No.33』より転載)

はるにれ

はるにれ

姉崎一馬 / 福音館書店
1981/11出版
ISBN : 9784834008579
価格:¥1,080(本体¥1,000)

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福岡伸一さんコメント 前出の『さよならトンボ』と同様のモチーフが本書にも。北海道の原野に一本だけ立つはるにれの樹は、秋にすっかり葉を落としたあと、厳冬期、吹雪と凍土に閉じ込められながらも、その場にすっくと居続けている。やがてここにも遅い春がやってくる。

せいめいのれきし

せいめいのれきし

ヴァ-ジニア・リ-・バ-トン、石井桃子 / 岩波書店
1981/04出版
ISBN : 9784001105513
価格:¥1,728(本体¥1,600)

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福岡伸一さんコメント 『ちいさいおうち』で知られる絵本作家が人生の最後に書いた作品。この宇宙に地球が生まれ、生命が誕生し、それが連綿と続いてきたこと。この奇跡的な出来事が5幕の壮麗な劇となっている。生命の歴史を扱った本で、この本にまさるものを私は知らない。

わたくし率イン歯-、または世界

わたくし率イン歯-、または世界

川上未映子 / 講談社
2007/07出版
ISBN : 9784062142137
価格:¥1,404(本体¥1,300)

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福岡伸一さんコメント 人間は本当に脳で考えているのか。「わたくし」ははたして脳に局在しているのか。それは科学的に検証することが難しい問題である。生きている人間から脳を取り出し、そのとき何かが消えるかをみる実験はできないのだから。
川上さんはまるで脳科学者を笑い飛ばすかのように、その問題に挑んでいる。
(『COYOTE No.33』より転載)

どこから行っても遠い町

どこから行っても遠い町

川上弘美 / 新潮社
2008/11出版
ISBN : 9784104412051
価格:¥1,620(本体¥1,500)

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福岡伸一さんコメント 川上弘美さんの小説の雰囲気が好きだ。ここでは,短編が綾なして、つながっていく。男が自分の場所に気づく一瞬にどきりとした。

きみのいる生活

きみのいる生活

大竹昭子 / 文藝春秋
2006/06出版
ISBN : 9784163681603
価格:¥2,262(本体¥2,095)

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福岡伸一さんコメント スナネズミと暮らした日々、思わず笑わされ、知らず知らず感情移入させられる。最近読んだ中でもっとも素敵な動物記。

新編燈火節

新編燈火節

片山広子 / 月曜社
2007/12出版
ISBN : 9784901477383
価格:¥1,728(本体¥1,600)

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福岡伸一さんコメント 戦争をはさんで、日々のさりげない暮らしを記した、知る人ぞ知る名随筆。隠された毒にひやりとする。

わたしを離さないで

わたしを離さないで

カズオ・イシグロ、土屋政雄 / 早川書房
2008/08出版
ISBN : 9784151200519
価格:¥864(本体¥800)

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福岡伸一さんコメント 幼少のころから反発し合い、結ばれることはなかったキャシー・Hとトミーは、人生の終わりになってようやく一緒の時間を過ごすことができる。でも、そのときはもう遅すぎた。ものごとには、あとになってしか分からないけれど、気がついたときにはすでに手遅れ=too lateなことが溢れている。生命とは何かを考えるときも同様に、過ぎさらないと分からないけれど、それに気がついたときにはすでに遅いというかたちで与えられる答えがある。
(『COYOTE No.33』より転載)

動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか

動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか

福岡伸一 / 木楽舎
2009/02出版
ISBN : 9784863240124
価格:¥1,645(本体¥1,524)

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福岡伸一さんコメント 生命とは何か? その問いに端的に答えるとすれば、それは「動的平衡」である。ちょっと難しく聞こえるかもしれないが、内容はシンプル。バイオテクノロジーや食の安全、病気、ダイエット、記憶など身近なトピックスを題材に、動的平衡とは何かを考えた一冊。

ロハスの思考

ロハスの思考

福岡伸一 / 木楽舎
2006/05出版
ISBN : 9784907818715
価格:¥822(本体¥762)

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福岡伸一さんコメント ロハスとは、ある種の思想改革である。つまり、これまで私たちを支配しようとしていたファストフードという名の加速、あるいはグローバリゼーションという名の均質化に対するパラダイムシフトである。線形的な加速から、円形的な循環を模索する思考といってもいい。言い換えるなら、閉じられた思考を開く思考である。

思考する豚

思考する豚

ライアル・ワトソン、福岡伸一 / 木楽舎
2009/11出版
ISBN : 9784863240179
価格:¥2,700(本体¥2,500)

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福岡伸一さんコメント 豚は非常に清潔好きで、知的で、上品で寛容な動物である。その寛容ゆえに人間の非寛容を許してくれている。自然を自然として見つめ続けたライアル・ワトソン最後の作品。それは豚と人間をめぐる繊細で美しい物語。 私たちは豚を育て、豚を愛し、そして最後にはおいしく食べてしまう。

エレファントム 象はなぜ遠い記憶を語るのか

エレファントム 象はなぜ遠い記憶を語るのか

ライアル・ワトソン、福岡伸一 / 木楽舎
2009/06出版
ISBN : 9784863240155
価格:¥1,944(本体¥1,800)

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福岡伸一さんコメント 2000年、ワトソンが幼少期を過ごした南アフリカ・クニスナの森で、大母(メイトリアーク)と名づけられた一頭の象が姿を消した。最後に残された象を探し、彼が向かった先で見たものは...。『スーパーネイチュア』『生命潮流』などの著書で多くの読者を魅了したライアル・ワトソン最後のメッセージ。

生物と無生物のあいだ

生物と無生物のあいだ

福岡伸一 / 講談社
2007/05出版
ISBN : 9784061498914
価格:¥799(本体¥740)

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福岡伸一さんコメント この本は65万部も売れてしまいました。著者の私自身、いまだに信じられないこと。生命とは何か? という問いは、人類始まって以来の問いかけであり、それは時代時代によって様々な文体で解答が試みられてきた。今、またこの答えが新しい言葉で求められているのかもしれない。

世界は分けてもわからない

世界は分けてもわからない

福岡伸一 / 講談社
2009/07出版
ISBN : 9784062880008
価格:¥842(本体¥780)

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福岡伸一さんコメント 前著「生物と無生物のあいだ」の続編にあたる本書は、私たちは世界を分けて分けてここまで来たが、それでいったい何がわかったのか、ということを書いた。まずは口絵の写真を見てほしい。ここにこの本のすべてが含まれている。面白く書きましたので、是非、お読みください。

できそこないの男たち

できそこないの男たち

福岡伸一 / 光文社
2008/10出版
ISBN : 9784334034740
価格:¥885(本体¥820)

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福岡伸一さんコメント <生命の基本仕様>――それは女である。男は単なる"使い走り"に過ぎない――分子生物学が明らかにした男を男たらしめる秘密の鍵「SRY遺伝子」。その発見をめぐる研究者たちの白熱したレースと駆け引きの息吹を伝えながら、"女と男"の"本当の関係"に迫っています。

生命と食

生命と食

福岡伸一 / 岩波書店
2008/08出版
ISBN : 9784000094368
価格:¥561(本体¥520)

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福岡伸一さんコメント 私たちはなぜ食べつづけなければならないのだろうか。機械論的に考えれば答えは単純。生命と食は、エンジンとガソリンの関係にある。はたしてそれだけだろうか。実はそうではない。生きているというのは、絶え間のない分子の合成と分解の流れの中に成立する状態であり、その流れをとめないために私たちは食べ続けなければならない。分子生物学が明らかにした古くて新しい生命観。

もう牛を食べても安心か

もう牛を食べても安心か

福岡伸一 / 文藝春秋
2004/12出版
ISBN : 9784166604166
価格:¥777(本体¥720)

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福岡伸一さんコメント 狂牛病は、英語 "mad cow disease"の直訳で、日本語でも英語でも、牛が狂った病気という意味である。しかし、その実相は違う。狂牛病は、人が牛を狂わせた病気、つまり人災としてある。 近代畜産システムの下で、牛はもはや草食動物ではない。効率のために、食物連鎖を組み換えることがいったい何をもたらしたのか。狂牛病が問いかけたものを動的平衡の生態論から読み解く。

プリオン説はほんとうか? タンパク質病原体説をめぐるミステリ-

プリオン説はほんとうか? タンパク質病原体説をめぐるミステリ-

福岡伸一 / 講談社
2005/11出版
ISBN : 9784062575041
価格:¥972(本体¥900)

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福岡伸一さんコメント 狂牛病の病原体は、プリオンである。プリオンとは、細菌でもなく、ウイルスでもない全く新しいタイプの病原体。遺伝子を持たず、タンパク質だけからなる。そんな病原体がいったいどのようにして消化を免れ、免疫系をすり抜け、脳にまで達し、病気を引き起こすのか。ノーベル賞を受賞した「プリオン説」を批判的に再考察した挑戦の書。科学とは何かを問う。

ダ-クレディと呼ばれて 二重らせん発見とロザリンド・フランクリンの真実

ダ-クレディと呼ばれて 二重らせん発見とロザリンド・フランクリンの真実

ブレンダ・マドックス、福岡伸一 / 化学同人
2005/08出版
ISBN : 9784759810363
価格:¥3,024(本体¥2,800)

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モッタイナイで地球は緑になる

モッタイナイで地球は緑になる

ワンガリ・マ-タイ、福岡伸一 / 木楽舎
2005/06出版
ISBN : 9784907818562
価格:¥1,543(本体¥1,429)

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マリス博士の奇想天外な人生

マリス博士の奇想天外な人生

キャリ-・マリス、福岡伸一 / 早川書房
2004/04出版
ISBN : 9784150502904
価格:¥907(本体¥840)

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虹の解体 いかにして科学は驚異への扉を開いたか

虹の解体 いかにして科学は驚異への扉を開いたか

リチャ-ド・ド-キンス、福岡伸一 / 早川書房
2001/03出版
ISBN : 9784152083418
価格:¥2,592(本体¥2,400)

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ヒュ-マンボディショップ 臓器売買と生命操作の裏側

ヒュ-マンボディショップ 臓器売買と生命操作の裏側

アンドル-・キンブレル、福岡伸一 / 化学同人
1995/07出版
ISBN : 9784759802788
価格:¥3,456(本体¥3,200)

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【編集後記】
福岡伸一さんの美文、ストーリーテラーぶりには、いつも大変魅了されます。
先生のご推薦される本を読んでみたいと思われる方は、私だけではなかったはず。
2009年締めくくりの選者としてお迎えでき、「じんぶんや」にとっても素晴らしい一年となりました。来年からの企画にもご期待ください。(じんぶんや 敏)


「じんぶんや」とは?

jinbunya.gifこんにちは。じんぶんやです。
2004年9月、紀伊國屋書店新宿本店に「じんぶんや」という棚が生まれました。

「じんぶんや」アイデンティティ1
★ 月 が わ り の 選 者
「じんぶんや」に並ぶ本を選ぶのは、編集者、学者、評論家など、その月のテーマに精通したプロの本読みたちです。「世に溢れかえる書物の山から厳選した本を、お客様にお薦めできるようなコーナーを作ろう」と考えて立ち上げました。数多の本を読み込んだ選者たちのおすすめ本は、掛け値なしに「じんぶんや」推薦印つき。
「じんぶんや」アイデンティティ2
★ 月 が わ り の テ ー マ
人文科学およびその周辺の主題をふらふらと巡っています。ここまでのテーマは、子どもが大きくなったら読ませたい本、身体論、詩、女性学...など。人文科学って日々の生活から縁遠いことではなくて、生きていくのに案外役に立ったりするのです。

ご愛顧のほど、どうぞよろしくお願いします。
「じんぶんや」バックナンバー
こちらのページから今までの「じんぶんや」をご覧いただけます。

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【じんぶんや第56講】 福岡伸一選「いのちを旅する本」
■場所 紀伊國屋書店新宿本店 5Fカウンター前
■会期 2009年12月7日~2010年1月7日
■お問合せ 紀伊國屋書店新宿本店 03-3354-0131

2009.12.07 特集[TOP]  サイエンス 人文 じんぶんや 生物