内容説明
伝説の脚本家が贈る日本一の人情時代小説!
「私に同行して!六平太、あなたに守ってほしい」--松坂慶子さん
第一話 剣友
相良道場の主・相良庄三郎に立身流『練志館』の代稽古を頼まれる。そこには同門であり、かつて共に稽古に励んだ勘定方・田中祥五郎の姿があった。三年ぶりの再会を喜ぶ六平太に、稽古の見学をしたいという申し出が入る。森掛藩もう一つの流派、一刀流『興武館』の者達だった。
第二話 いかず連
『もみじ庵』に平尾伝八という男が付き添い屋として雇われる。六平太は平尾を見習いとして付添いに同行させるよう頼まれるが、気が進まない。その六平太の元に瑞聖寺裏の田圃で侍の惨殺死体が見つかったと知らせが入る。
第三話 祟られ女
六平太は、山之宿町の灸師・お浪から付添いの依頼を受ける。自分の告げ口によって賭場で捕まった亭主、又次郎が近々赦免される。赦免後の又次郎の様子を二、三日見てほしいというのであった。
第四話 放生の夜
六平太は、与之吉という男から自分を見張ってほしいと頼まれる。十五年奉公した糸問屋『桐生屋』の女将、お須美と駆け落ちしてきたのだが、働き口もなく怒鳴られる日々。いつかお須美を手に掛けそうな自分が恐ろしいというのであった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やま
62
浅草元鳥越の市兵衛店に住まいして、立見流兵法の遣いてで、信濃国十河藩加藤家を出て浪人となった秋月六平太が、口入れ屋「もみじ庵」からの紹介で裕福な商家の子女の芝居見物などの付添い屋を生業とする人情物語です。六平太の義妹・佐和は、火消しの音吉と祝言を挙げ、授かった勝太郎も音吉の先妻の子である姉のおきみちゃんと一緒に外へ出て行くようになりました。→2022/12/24
真理そら
45
穏蔵とおりきが親子っぽい雰囲気になってきた。2022/10/21
はにこ
35
いつもの長屋のメンバーに音羽町のメンバー。抜群のレギュラー陣。メインストーリーは大名家での殺人事件。こういうこと、本当にあったんだろうなぁ。武士の矜持ってくだらんな。登世のいかず連は再び結成。ちょっと甘やかして育てちゃったかもねぇ。これからも厄介な存在になりそう。穏蔵が段々頼もしくなってきたね。今後も楽しみ。2021/06/02
むつこ
27
シリーズ14作目。平尾伝八の登場にうさん臭さを感じながら読んでいるとやはり「いかず連」の女性たちも好感をもてない様子、道場の仲間・田中祥五郎が殺され噂を流すために読売を使うシーンにニヤリとした。今回は穏蔵との絡みが少なかったな。2021/12/31
ときわ
5
さらっと読んだが、どれもお気楽爽快な話ではなかった。いかず連の女の子たちには好感が持てない。前から感じていたが登世の親は甘やかしすぎだと思う。表題作の祟られ女につい六平太が言ってしまったことは仕方なかったけど、どちらにも益がないことだった。大名の藩内のごたごたは嫌だねえ。放生会、やりきれない話だったが、でもこれで良かったのかもしれない。2021/02/17