内容説明
アメリカを怒らせた幕末日本のお粗末外交!
嘉永6年(1853)、アメリカ東インド艦隊司令長官マシュー・ペリー率いる“黒船艦隊が浦賀に来航した。「突然」の来航に浦賀奉行所は慌てふためいたが、じつはペリー来航の情報は、これより前にオランダ商館長より幕府にもたらされていた。ペリーは決して「突然」やってきたわけではなかったのだ。「何もしない」「問題先送り」体質にどっぷり染まった幕府は、アメリカ使節団への対応も後手後手にまわる。“偽奉行”に交渉させたり、「二枚舌」を使って交渉をのらりくらりと長引かせるなど幕府の「その場しのぎ」の対応に、当初は友好的な態度で交渉に臨んでいたアメリカ側は激怒。「砲艦外交」へと舵を切る……。しかしその後も、英語に堪能なジョン万次郎を「讒言」で交渉役から外したり、挙げ句の果てには条約文を意図的に「誤訳」したりとお粗末な外交を続ける幕府は、やがてその終焉を迎えることになる。
大ベストセラーのシリーズ!ノンフィクションの金字塔、「幕末年代史編」第1部待望の電子版です!
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
118
いよいよ幕末に入りますが、ここら辺のことは様々な文献を読んでいて、よく知っていることが出てきています。島津のお家騒動で斉彬が暗殺されたといわれていることも読んだことがあります。一番気にかかったのは、1854年から55年にかけて大震災が日本で幅広く起こっていることでした。このようなことを見ていると、ちかぢかまた震災が起こるのではという気になります。このシリーズとみなもと太郎さんのコミックは話題が似ている気がします。2016/06/24
ソラ
36
今回はペリー来航あたりの開国前後。きょうかしょてきな知識では知りえなかったことが多い。いつものことだけどここでも言霊と朱子学の影響が大きいな…2015/07/17
だいだい(橙)
32
日本の教科書にはペリーがある日いきなりやってきたように書いてあるが、ロシアもアメリカも繰り返し使節を派遣してソフトに紳士的に開国を勧めてきた。幕府が認めていた唯一の欧州の貿易相手オランダ国王も日本のことを考えて親書を送り開国を勧めた。しかし鎖国を家康伝来の祖法と誤解した幕末の要人たちは「ダメなものはダメ」で失礼な方法で断った。黒船がくるまで何度も前触れがあったのに無視した幕末の徳川幕府は、著者が言うように無策、アホとしか言いようがない。これも「言霊政治」。有事を想定した対策のなさはいまの日本人にも通じる。2022/08/02
RASCAL
30
根拠なき楽観、無作為、頑迷、日和見、先送り、有能者の排斥、平和はいかに為政者の危機管理能力を喪失させるものか。「異人は切り殺せ」の小攘夷の人々も同様で、話にならない。おかげで明治維新に至るまでに日本はたくさんのものを失った。でも今も「日本国憲法は祖法でござる」みたいな政治家はたくさんいるし、安保法制に反対するからには、中国の領海侵犯や北朝鮮のミサイルに対し具体的な対抗策がなければならない。「起こらないと思う」「何とかなるのでは」「話し合いで」では江戸幕府と変わらない。現代人も歴史に学ばないと。2015/09/05
デビっちん
29
場面は幕末に。ペリーに突然開国を迫られたというのが自分の中の歴史でしたが、ペリーが来るのは一年も前にわかっていたんですね。わかっていても対策をしなかったのは、背景に言霊思想があるという解説が本シリーズならではだと感じました。逆に考えると、言霊のベースがあるならば良いことを考え続ければ良いのでは?と思った次第です。そうならないのは、デフォルトではマイナスに振れやすからでしょうか。2018/07/01