内容説明
【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。
日中戦争前後から、アジア各地や南洋地域へと侵略するなかで、日本は各地で人びとを動員する。植民地から日本本土へ、日本から植民地へ、生存するために多くの人びとが移動し、また、移動を強いられた。そしてアジア太平洋戦争の敗北とともに、彼らは故郷をめざす。しかし、その道のりは平坦ではなかった。中国大陸では国共内戦が激化し、日本の敗戦前夜からはじまった東西冷戦により朝鮮戦争が勃発、帰る場所を失う人びと。満州にいた日本兵たちはシベリアへ抑留され、一方で米軍統治下の沖縄へは戻れなくなる。彼らへの聞き取りや残された記録を追って、じっさい彼らがどのように戦争を体験したのかを探りながら、あの戦争の実態を描き出す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nnpusnsn1945
54
十五年戦争について記した通史。複数の人数からの聞き取りが絡んでおり、重たい話も多い。ニューギニアで戦死した高橋千三氏の項目では、藤原彰氏の研究が使われている。なお、餓死や玉砕には「戦陣訓」が現場の将兵の行動に影響を及ぼしている。植民地の問題については紙幅が広い。炭鉱労働に駆り出された中国人や朝鮮人、連合軍捕虜がいたが、場所によっては痕跡を伝える展示を資料館で行っているという。2022/03/06
KAZOO
37
戦中・戦後を一つの流れとみて書かれています。そのために少し網羅的な感じで書かれていて、もう少し詳しく書いてほしい部分もありました。今の若い人にはこの1冊くらいの本を読んでほしいと感じています。今の時代が昔からあるのではなくこのような戦争があったということと戦後の生活というものを感じてほしいとおもいます。2015/02/22
へたれのけい
5
「歴史本」と云うよりも現代社会の問題を抉り出す本。2019/02/26
鐵太郎
4
日本は国内的には戦後処理の責任から逃げた、そして一度はアジアに覇を唱えた東洋の大帝国の終焉にあたって、その宗主国としての責任から逃げた、というふうに読めました。歴史を見つめ直し、あの時代の総括をしないままで曖昧に次の世代に引き継いだのだと。中心軸がまっすぐなら、左右なにがあってもいずれ終息するもの。そのよりどころを、かつての戦後の日本は作れなかった。残念。このシリーズでは、どんな「中心軸」を提言してくれるのか。16巻が楽しみです。2009/03/30
かじやん0514
4
ふつうの人々の視点を通史の中にうまく織り込んでいる。それだけでもすごいのだが、日本の旧植民地下にあった人々が、戦争や、日本の敗戦やアメリカの占領によって受けた影響も描かれていて勉強になった。2013/11/16