内容説明
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「天皇」号や「日本」国号は、古代中国の強い影響下で制定された。1200年前にはすでに24種類以上の稲の品種が生み出され、そのうちのいくつかは現代まで生き延びた。8世紀におきた難波津沖の遣唐使船座礁事件は、難波京や平安京の建設による森林伐採や瓦用粘土の採取で大量の土砂が川に流入したためだった。日本固有の信仰とされてきた道祖神のルーツは、古代朝鮮にあった……。 古代史全体を見渡して新しい視点でテーマを掘り起こし、現代社会への問いかけとして提示する。出土文字資料研究の第一人者が、文献史学の枠を越えて生き生きと描き出す、「今に生きる」古代史。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tamami
52
最近目にした新書『日本語の起源』に関して、当時の歴史の流れを確かめたいと思い手にとる。副題に新視点古代史とあるように、木簡や墨書土器などに残された僅かな文字史料を手がかりに、古代の稲作の実際や列島各地の政治や庶民の暮らしにも焦点を当て、当時の生活を復原していく。また、当時広く行われた出挙制の実情や東国からの防人の実態など、国家と庶民との関わりについて、教科書だけでは見えてこない歴史を知るとともに、信濃や駿河など古代の国名の由来や、現代にも通じる民俗信仰の起源についての新説もあり、興味深く読ませてもらった。2022/02/03
HMax
16
702年に初めて「日本国」デビュー、その前の670年までは倭国。古事記(712年完成)は「大倭豊秋津島」、日本書紀(720年完成)では「大日本豊秋津洲」だそうです。1200年前の稲の種類、江戸時代まで変わらず、相当な種類があったそう。病気や気候による被害を抑える知恵だそうで、今週の大雨を見ると、昔の知恵を再考するときかも。1300年も前の地方自治体の長が二重帳簿を作っていた!!さすがに裏口入学の証拠は出てこなかった?「えびすめ」まさか、715年三陸沿岸閇村の人も先祖代々、貢献していたとは。美味しいね。2018/07/07
KAZOO
12
このシリーズを見ると最近の成果や文化的なものがよく写真などで説明されていてわかりやすさがあります。ただまあ全集ということでしょうがないのかもしれないのですが、やはりどこでも読める感じの体裁にしてくれればいいと感じます。年寄りの私にとっては字が大きく行間も空いているのは助かるのですが。2014/01/01
鐵太郎
7
第二巻で扱う時代は、「王」、「大王」という呼称が「天皇」になり、「倭」が「日本」になった時代から始まり、「変革の10世紀」までです。日本という国号、コメ作り、社会観、文化、兵役、税、国名。そして防人の話、道路幅の話、いろいろです。真面目な文なのに、楽しい。・・・ところで10世紀まで語り終えたというのに、この時代つまり飛鳥時代・大化の改新・奈良の平城京など、歴史上政治的・軍事的な人間ドラマがあったはずなんですけど、全く語られないのです。人が出てこない歴史ってあるの? 不思議。(笑)2008/05/11
アリョーシャ
6
「天皇」号のはじまり、古代のイネの品種、古代人の文字の習熟など、「新視点古代史」というタイトル通り、テーマごとに掘り下げている。文字の習熟が不十分であったために、徴税台帳に記載されている人の名前が変わっていってしまう話、写経すると賃金がもらえるが誤字や脱字で減給されてしまう話など、当時の人々の生活を垣間見られる話はおもしろかった。一方、いくつかの章は、章としてのまとまりや主張が弱く感じられた。テーマを語るモデルが確立していないのかもしれない。古本で安く買えたので、十分元は取れた。2016/07/24