内容説明
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宮廷文化が花開き、華やかな文化が栄え、平穏なイメージの強い平安時代ではあるが、いっぽうでは干ばつや大雨、火山の爆発や地震といった自然災害に見舞われ、争乱も相次ぎ、人々の暮らしは揺れ動いていた。この巻では、考古学による最新の発掘成果を取り入れて、さらに『古今和歌集』など、従来の歴史研究ではあまり用いられなかった当時の文学作品を丹念に読み解いていくことで、律令制度が変質し、大きな転換点を迎えた貴族社会の実像に迫っていく。また、こうした災害が引き起こす環境問題や戦禍による人間生活の破壊などを取り上げることで、単なる過ぎ去った過去ではなく、現代と対話が可能な、今に活かすことのできる歴史像を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
30
歴史の本にしては珍しく、古今和歌集の歌集から始めています。また列島の災害をかなり絵などを用いて説明しています。平安時代をこのような観点から説明しているのも面白いと思いました。読みやすく今までにはないような感じの歴史書だと感じました。2014/11/08
kenitirokikuti
6
図書館にて。しばらく積んでいたが、再び通史の通読を進めた▲清和天皇は初の幼帝。奈良時代には「天皇」が政務せねばならず、女帝や摂政が立つ必要があった。宇多天皇は藤原氏に属しておらず、律令制のコンセプトに反して近臣を取り上げたり、本人が出家して初の法皇になったりした。仁和寺が彼の邸宅となる▲法制史上、初めて天皇を直接対象としたものが、儀式での衣服を唐風に改めるもの。なるほどぉ…2021/10/23
鐵太郎
6
世界との関係、東アジア外交史は最後にようやく出てきます。このへん、日本周辺の東アジア人が驚くところなんですよね。日本では、外国との関連で歴史を語ることが少ないという事実に。中国はまだしも、韓国では対外的な外交抜きに、というか対外的な序列の変遷抜きに歴史が語れないのです。日本がそうでないことは、彼らの理解しにくいところ。ま、立場が違えばそうなるものですよねぇ。2008/06/27
Mentyu
5
平安時代の通史というよりも、旧来の類書ではスポットを浴びてこなかった災害や和歌はじめ、貴族・武士・外交など色んな要素をより合わせて歴史叙述を狙った内容となっている。平安時代という長い期間でこれをやると、どうしても話が前後したり、関係性の把握が難しくなるので、奈良時代と違って大変だろうなと。2020/03/04
カザリ
5
出だしの災害、飢饉による平安時代への印象見直しだけ面白かった。あと、巻末付録かなあ。2012/10/05