内容説明
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幕府が開かれ100年が過ぎ、成熟したかにみえた18世紀の江戸社会。しかし、相次ぐ地震・火災・水害・旱魃・飢饉に人びとは動揺する。「公儀」の名において復興や救済を行なう幕府も財政がひっ迫し、思うように統治力を行使できない。いっぽうで民間に蓄えられた「知」の力が、幕府や藩に取り込まれたり、地域のリーダーとして活躍の場をひろげはじめる。統治者と非統治者が真向かい、せめぎ合うなかで、獲得される知恵や工夫が次の時代への力となり蓄積されていく。転換期を迎えた江戸時代の、人びとが生きぬこうとする姿を多彩な史料からときおこす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
36
私はこの日本史のシリーズを読んでいてよかったということのひとつは、他のシリーズに比べるとその時々の人々の生活状況などをかなり詳しく書かれていることであると思います。私は網野善彦先生の本が好きでその先生の考え方が比較的多くのところで反映されているのではないかと思われました。この巻もその特色がよく現れていると思います。2015/01/19
へたれのけい
7
地方の城下町の人口減少とか、全く初め知る内容です。 ところで、地域としての江戸の情報は(正誤はともかく)沢山はいります。しかし、自分の地元を含めた地方の情報は入り難い。実は、さほど知りたいと思っていないせいかも知れない。(うう、自虐的だ)2018/09/19
珈琲好き
7
綱吉を起点として、野蛮だった中世人が江戸時代を通じて徐々に文明化し、人権を身に付けていく。2017/05/14
鐵太郎
5
「ほころび始めた徳川幕府と」とオビには書かれています。これは違うんじゃないかな。ほころびは常に起きていたし、江戸幕府は常にそれと戦ってきたのです。安定期の政体の中で、単にそれが目立つだけではないか。 時代的には、いわゆる「赤穂浪士」やそれを取り巻く当時のマスコミ、歌舞伎・人形浄瑠璃などの、見た目にきらびやかな文化があるのですが、すっぱりとカットされていますね。文化・技術の進歩が、少しずつ社会を変えていく様子は簡単には捕らえられないのですが、この本ではいろいろな説明のしかたをしています。ふむ。2008/12/20
だっぱら
4
池田光政「民は餓死すべきとも、先ず士さえよければと存ずる者は、いかなりあさましく候えば、士の本意にも、民を豊にするに有る事必然たり」 情けは人の為ならず、とはよく言われるが、相身互いという考えを間に挟めばなおしっくりくる。2012/03/20