内容説明
斬首刑を受ける者が腰を下ろす場所、土壇場。そこで、科人の最後の呟きに耳を傾けるのは、代々首斬り役を務める七代吉利。売られた娘のために強盗を、死罪になってなお仇討ちを願う女…。死の間際に彼らが語る真実とは?人間の弱さと哀しき業を知り抜く吉利が、残る悪しき宿縁を断つべく弔いの剣を振るう!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
酔拳2
32
かの有名な首切り役人、山田浅右衛門が事件解決に奔走する!と言う、絶対現実にはなかったやろ、と言う話。でもね、思ったより良かったです。勧善懲悪というか、全て丸く収まる訳でなく、斬首されるものはされ、殺されてしまう者は殺されちゃうんだけど、次の犯罪を未然に防ぐ、とか打首となった者の無念を晴らすとか、仕事人みたいな感じだった。まあ、大体が斬首された罪人の今際の際に言った一言から始まるしね。この作家さん好きだな。浅右衛門って身分は浪人で、本業は刀剣鑑定士って、知ってました?2021/01/15
nyaboko
2
千野さんは軽くて読後感のいいお話ばかり書かれるので私には合う。今回は死刑で首を斬る役職を代々続いている浅右衛門が主人公。当然死人大量(当たり前か) ただ、どのお話も『人情控』というだけあって人情溢れており、読後感はよい。ただ最後はちょっとホロリときた。今後どうなるか次巻が楽しみ。2013/02/18
あここ
2
何故か浅右衛門さんは無口で人付き合いしなさそぅ。。。ってイメージがあってんけど。吉利さんはそうでもなかった。まぁ仕事が首斬りなだけに明るいって訳にはいかへんけど。土壇場で斬られる間際の人達と関わって。頼まれたり。気になるコトあると顔見知り同心さんに聞いてみたり。もぅ刑は執行された後やから、どうもならへんけど。自分が斬っただけに気になる。。。事情いろいろ。。臥せってる奥様との関係がステキでした。どんな状況でも旦那さんを支えて癒す志乃さんかっこいいです。吉利さんも愛情いっぱいでこんな夫婦になりたいなぁって理想2011/10/03
鈴木正大
1
悲しみの時代小説だ。犯罪人と死刑執行人が主役なので当然だが、読んでいて辛くなる。第二巻「莫連娘」第三巻「安政くだ狐」を先に読んでしまって第一巻である本書が最後となり読む順番が逆さまになったが短編集なのでそんなに気にならない。2018/01/02
ひさか
1
千野さんを読み始めたのは、ここ数カ月です コミックの首斬り朝(原作:小池一夫,作画:小島剛夕)のイメージがあって、 タイトルについてる「人情」という部分に少し「はーっ?」ってなりました。 が、読んでみるとさすがに千野さんの作品で、読み始めると止まらなくなりました。 この巻には7つのお話があって、短いめのお話ばかりですが、ぐいぐい引きこまれてしまいました。2012/03/29