内容説明
将軍家毒味役を養子の卯三郎に譲り、「影鬼」となった矢背蔵人介。卯三郎に初めて「裏御用」を命じる老中の阿部伊勢守から命じられた。密命は卯三郎の役目と突き放していた蔵人介だが、的とされている「奸臣」の普請下奉行・菅沼弥兵衛に悪評はまったく聞こえてこない。しかも、蔵人介の義弟・綾辻市之進の幼馴染みでもあり、さっそく真相の追及に乗り出したのだが……。新たな時代に突入した超人気シリーズ第三十三弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
133
1年ぶりの鬼役!第33弾最新刊は『初心』ときた。読み初めはなんだかん~ん・・ページを捲る手が進まない。これはもう私の心が揺れないのかなんて思いつつ。ところがどっこい、義弟の幼馴染が絡んでくる頃にはどっぷり浸って、くぅ~やっぱり「影鬼」だろうが何だろうが蔵人介じゃないとね。って感じなのだ。砕かれた肩をしっかり直して更に進む道はひたすらに修羅道なのだろうが、それこそが「世の木鐸たれ」だ。それにしても待った1年は長い。2023/05/02
やま
59
幕臣随一といわれる田宮流抜刀術の達人である矢背蔵人介の活躍の物語です。矢背蔵人介は、長らく務めてきた御膳奉行の任を解かれ、小姓頭取格奥勤見習を拝命し、影鬼として、密命により幕臣の不正を断つ暗殺役という裏の顔があります。なお、御膳奉行は、蔵人介から養子の矢背卯三郎へ。公方家慶の尿筒持ち役を務める公人朝夕人の土田家は、伝右衛門から養子の伝蔵へと代替わりしていきます。元鬼役と鬼役の義理の親子による悪党成敗の物語です。2023/06/30
ひさか
22
2023年4月光文社時代小説文庫刊。書き下ろし。シリーズ33作目。隻眼禅師、纏う血、木鐸たれかし、の3つの連作短編。前作がよくわからない展開だったのに対して、今作は鬼役を離れたところにきっちり焦点をあてたため、分かり易い。隻眼禅師は不気味な話が続き従来とは違った展開で少し驚いた。3話目はいつもの展開に。次作はどう展開するのか?楽しみです。2023/05/30
ぶんぶん
20
【図書館】鬼役シリーズ、第三十三弾! 遂に、鬼役のお役目を息子に譲り「影鬼」となった蔵人介。 やや、隠居じみた処もあるが、鬼役の名残が残る。 ちょっと優柔不断な処が見受けられるが、やる時はやる。 新たなシリーズに向かって逡巡が有るのか筆が進まなかった様に感じた。 元々、紆余曲折がある作家と思うが、もっとストレートで良いと思う。 季節感も気もそぞろといった感じ、初期の鬼役を思い出して欲しい。 ストーリーも間延びした感じです。 シリーズが長すぎたか・・・次回は気を入れて。2023/07/26
陽ちゃん
10
シリーズ33作目。膳奉行の職を養子の卯三郎に譲り、楽隠居…とはいかず、“影鬼”として動くことになった蔵人介。卯三郎の鬼役としての初仕事は何とも後味の悪いものでしたが、鬼役から開放された蔵人介がこれまでに比べて自由に動いている感じがしました。逆に取ってつけたような役職で軽んじられることもあるようですが、あまり影響はないかな。因みに矢背家ファミリーの団らん?シーンも楽しみです。2023/08/01