内容説明
時は平安、京の都。稀代の大陰陽師・安倍晴明の孫である昌浩は、まだまだ半人前の陰陽師。日々、相棒・物の怪のもっくんと修行に励む昌浩だったが、雅楽器の付喪神から神隠しにあった若君を捜して欲しいという依頼が舞い込んできて? その頃、敏次は久しぶりに兄・康史が身罷った朝の夢を見ていた。陰陽師の見る夢には意味があると言うが、果たしてその真意は……? 長い刻を経て、ファン待望の小説「十二刻」が短編集で登場!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひめありす@灯れ松明の火
49
あどなき祈りは、あどけなき祈り。どうか元気でいてほしいと、無邪気に願った幼い日。同時にまだ少し幼い今の彼の微かな羨望。だけどどうしたって届かないから、それは同時に宛所のない、あどなき祈り。神さえ恨んだ。何故と問うた心が選んだ、己の生きる道。子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥。失われた物は戻らない。十二刻に相応する十二神将にも時の断は歪められない。今ここにある無邪気な笑顔も、賑やかな関係性も、叶えられない約束も。もう触れれば切ない程の代物だけど。ふと思い出す面影の君が穏やかな笑顔でいてくれるならきっとまだ頑張れるんだ2016/11/08
白火
23
敏次のお兄さん病気かなんかで亡くなったのかな、ってずっと思ってた。こんなことがあったとは…雑鬼達の大活躍とかそこら辺楽しかったけど、それを別にして涙が止まらない。「生まれ変わったら、また兄弟がいいな」、でもう完全に駄目です、つくづく私本当にこういうのに弱いな。願わくば、彼らが何時か廻った先で、再び繋がるときが来ますように。2016/07/15
きょん
20
まだ少年の頃の昌浩の話が読めてうれしかった。確かにこの頃って悲しい事もあるけどまだ笑顔も多かったなあ。敏次と兄の最後の会話には思わず涙。そしてちらっと篁さんが気配のみ出てきててにやりとした。2016/08/01
nono
19
少年陰陽師シリーズ番外編。まだ若い頃の昌浩が相も変わらず雑鬼達に頼られるお話。若君の為に命を投げ出す笙の付喪神にも泣けるが、敏次の兄にもまた涙。敏次の幼い頃の話はなんとも微笑ましく、あの悲劇を乗り越えた今の敏次の人となりにも納得。しかし騰蛇の笛に勾陳と六合の剣舞!昌浩良いもの見たなぁ、羨ましい^^2017/03/19
めりた@かりた
17
久しぶりにまったり読めました。っていうか、本編の方は尸櫻編から読んでないんだけどね。先がさっぱり見えなくって読んでて辛くなっちゃうから中々手が出ない。この前の短編集も結構重たかったしね。敏次にとっては辛い過去から今だったんだろうけど、お守りのおかげでちゃんと送ることができて良かったねぇ。成親や行成もかなり頑張っていっぱい見つけてくるんだろうね。この二人がタッグを組んじゃったらそれはもう恐ろしい結末しか思い描けない・・・( ̄ー ̄)フッ それにしても雑鬼たちはいい仕事してるなぁ。2016/07/06