内容説明
紋蔵が深川の元締め殺しの背後にある事情に心痛めていた折り、例繰方での経験を生かして、将軍の御前で裁きを披露する「吹上上聴」で扱う事件に、先例がないことを確かめてくれと頼まれた。が、先例を知っていた紋蔵は苦慮の末に逆転の手を閃いて……。定廻りに任じられた紋蔵の葛藤を描いた好評短編連作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
43
定廻りとなった紋蔵の葛藤が感じられました。相変わらずピンとこない活躍ですが、それはそれで紋蔵らしいと言えるでしょう。2021/10/26
マッピー
14
前巻の最後に、物書同心から定廻り同心への出世がほのめかされた紋蔵。巻を改めて、またいつもの物書同心の話かと思いきや、ちゃんと定廻り同心に出世していたので驚いた。17人の岡っ引きを部下に持ち、さらにその岡っ引きが数人の下っぴきを使う。紋蔵は一気に何十人もの部下を持つ身になり、それはそれで苦労が絶えないことを学びつつ、定廻り生活を謳歌していた紋蔵。ところが、何のしくじりもしていないのに元の物書同心に戻されてしまう。紋蔵の仕事ぶりが評価された挙句の出戻り。ああ、すまじきものは宮仕え。紋蔵、切ないのぅ。2018/12/13
タツ フカガワ
11
シリーズ7作目で物書同心から念願の定廻へ転身。着流し巻羽織姿で、実入りも10倍になった紋蔵さん、俄然捕物帖らしくなった。と思ったら……。安覚さん、金吾、蜂屋与力、捨吉らがいい味出しているなあと思うのは、このシリーズに馴染んできたためか。2018/12/02
ひかつば@呑ん読会堪能中
11
前巻で同心の花形、定廻りになったらしく巻羽織に慣れないという描写から始まる第7巻。町で事件を片つける同心ぶりも大したものだが、出来すぎる男というのも厄介なもので、将軍に見せるお裁きのネタを先例から苦もなく探してしまうと、上役から元の仕事に戻れといわれ、定廻りのおかげでせっかく楽になった暮らしを失うことになる。デキる男紋蔵の哀愁漂う最終話がなんともいえない。2013/05/07
icchiy
9
定廻りとして働く紋蔵。なんだかいまいちピンとこないが結構活躍すれど、やはりというかこのシリーズなんでね。もとの鞘に戻ることに、身入りはかなり減るが嫌でもなさそうな紋蔵さん、いるべきところ必要とされる場所があるのはいいものです。まだもう少しシリーズは続くので追っかけます。2020/04/11