内容説明
長男長女も独立し、のどかに過ごす藤木紋蔵の家へ、近くの長屋に住むいたずら坊主の文吉が、遊びに来たまま居着いてしまった。どうしたものかと思っていたが、手習塾の席書会で、文吉が書いた「へのへのもへじ」が大名家の詐欺事件の解決の手がかりに。いったい、文吉は厄介者か、福の神か。“窓際同心”痛快捕物帖!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kei302
58
文吉初登場「居眠り」シリーズで一番好きな巻。島送りになる父と文吉の別れの場面は胸が詰まる。二人とも表情を変えない。感激がないのではない。感情を押し殺している。わずか八つの(後の巻ではこのとき5歳に変わっている!)文吉でさえも見事に感情を殺している。村上豊さん装画の本を読む:其の一。2022/08/04
ジュール
14
居眠り紋蔵シリーズ第三弾。ここでは紋蔵さん、父の死の真相を求めて結構ハードボイルド。黒幕の屋敷に単身乗り込むあたり度胸満点。文吉と島流しにに会った父親との別れの場面は泣けてくる。2022/08/21
タツ フカガワ
12
シリーズ3作目。前作に引き続き捕物帖的面白さと、江戸情報がバランスよく配されて全8話どれも楽しみました。町奉行所のことがこれほど詳しい小説は珍しいのでは。たとえば、武士の無礼討ちが許されるときと許されない場合の判断基準が絡む「貰いっ子」を興味深く読みました。また今作は、30年前に不慮の死を遂げた定町廻りの父の死の真相が各話と絡んでいて読み応えがありました。それに「へのへのもへじ」で登場した板前の喜八、いいですね。2018/11/13
ひかつば@呑ん読会堪能中
12
1巻目では、話は面白いがあまりの頼りなさに紋蔵を好きになれなかったが、2巻目で実はなかなかデキる男なんだなぁと楽しく読んで今回の3巻目。ふむふむやっぱり紋蔵はやるなぁ、と読み進めていたら... こうきましたか! こりゃ目が離せませんな! 次、次!!2013/03/08
RED FOX
11
「一時の怒りに任せて刃を振り回すお方のようには見受けられぬが」サラリーマンしながら上司からのしんどい副業を断れない紋蔵。謎解き、権力者との攻防が面白い。隅田川に捨てられた父の死とは。2024/07/08