内容説明
次男の紋次郎にまで養子話が出て跡継ぎに頭を悩ませる紋蔵。貰い子の文吉も侠客・不動岩の伜に世話になると家を飛び出した。が、紋次郎が剣術の稽古でいじめられていると知って仕返ししたらしい。子供の喧嘩にしゃしゃり出てきた親は上役の吟味方与力・黒川静右衛門。逆恨みの無理難題を切り抜けられるか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マッピー
16
何の落ち度もないのに、というか逆に仕事ができすぎて、誰も紋蔵のように古文書の事例を扱えないので、せっかくの定廻り同心から物書き同心へ逆戻り。そんな時、紋次郎に養子縁組の話が持ち上がる。表題作「旗本向井帯刀の発心」は、なんとも切ない。どこの誰の子どもに生れ落ちるか、それは選べるものではない。数々の偶然が重なった結果明かされた、向井帯刀の生まれの秘密。『親の因果が子に報い』とは、今よりももっと重い言葉だったのだろうと思う。向井帯刀がいい人であればこそ、余計に残念な事件であった。2019/01/16
kazu@十五夜読書会
12
ハードカバー読了済み(文庫もダブル登録で、共読本に反映させる)2012/12/18
タツ フカガワ
10
表題作も含め、今回は藤木家に関した騒動や事件が多い。なかでも11歳の文吉の行動力には驚くばかりで、養父紋蔵さんの心配の種は尽きない。それに悪役の与力が、これまた憎らしいキャラで物語を盛り上げてくれる。シリーズ8作目ですが、ますます面白くなってきました。2019/01/02
ひかつば@呑ん読会堪能中
7
割を食ってじっと我慢を強いられるという、中年読者にとっては身につまされるような切さと、時に披露する見事な推理とのギャップに堪らない魅力を感じていたが、この巻では、紋蔵を助ける強力な味方もでてきたようだ。6,7巻を飛ばしてこの8巻を読んだのはチト失敗だったがそれでも文句無く面白い。2013/05/02
文句有蔵
4
なんだか皆得手勝手な人ばかりの巻。特に次郎左衛門にはムカつく。黒川静右衛門の方がまだしも可愛らしい。「韓信の股くぐり」は内容と表題がどう繋がっているのか全然わからない。「項羽と劉邦」を読んでいるところだから、韓信も股くぐりもよーく理解しているつもりだが、紋蔵の言うように「ちょっと違う」と思う。……紋蔵が書画にも造詣が深くて苦笑(^-^;)居眠りばかりだけどすごーく剣が強くて、推理が鋭くて、書画にも強いだなんて、最初の設定のヒトからどんどんズレていきますね(笑)不動岩がさすがカッコいい最終話でした☆2014/09/15