内容説明
話題の書本(かきほん)で先祖の名誉が汚されたので、作者を罰してほしい――。大店の老舗菓子屋の主人の訴えに、書本を罰した先例はないという紋蔵が読んでみると、室鳩巣(むろきゅうそう)の記した賤ヶ岳の戦いでの美談が偽りだと理詰めで証された見事な出来栄え。そんな折に作者が殺されて……(表題作)。大人気の読み切り連作長編。「物書同心居眠り紋蔵シリーズ」第9弾。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
baba
31
再読ですが、佐藤氏のいつもの筆の運びに、フムフムと引き込まれました。物書き同心の本領発揮、色々な事案がすらすらと出てきて事件の運びが速く、読み手もすっきりします。今作は子どもたちが嫁に行ったり、文吉、勘太が戻ってきたりと紋蔵の身の周りにも変化があります。「天網恢恢疎にして漏らさず」は深い読みが必要でした。2017/01/22
kazu@十五夜読書会
24
五条市立図書館より配送。居眠り紋蔵シリーズ9巻2008。綿密な時代考証により進められる物語は、社会の仕組み・人々の思いが良く伝わる好きなシリーズです。この巻は賑やかだった子供達がいなくなり寂しくなってしまった。居眠り紋蔵シリーズは、10巻『魔物の棲む町』2010、11巻『ちよの負けん気、実の父』2011と、続いており手配が出来れば読みたい。2013/01/22
マッピー
16
預かり子の文吉と勘太が帰って来た。ついに観念した文吉は紋蔵の跡を継ぐ決心をし、心を入れ替え学問に打ち込むことにし、妙は心置きなく嫁に行く…ことになるのかな。紋蔵一家のストーリーとは別に、今回は表題作が白眉だった。いくつもの古文書を読みくらべて事実を読み解くだけではなく、実際に現地へ足を運び、記述に齟齬はないか確認し、歴史の真実を見てきたように講釈する。ああ、何とすばらしい仕事だろう。と思ったのに、彼の本業に仰天してしまう。文吉の初恋も可愛い。今後が楽しみ。2019/02/02
to boy
16
佐藤雅美さん初読みです、しかもシリーズ途中から。読メで評判が良いので手に取ってみましたが、評判通り 素敵な雰囲気の小説です。ここの話は他愛のないものだが、人物の描き方に温かみが感じられてほんわかします。「文吉の初恋」が特に良かった。続きを読みたくなります。2014/06/07
ひかつば@呑ん読会堪能中
10
安定した面白さのあるシリーズ。同心紋蔵が遭遇する奇妙な数々の事件だけではなく、ともするとお家断絶という難事もありえる紋蔵一家の変化が長い時間をかけて描かれており、あるときは頭を抱え、時にホッとする紋蔵が実にいい。2013/05/09
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