内容説明
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マチネ・ポエティクのひとりとして『1946 文学的考察』で文壇に登場して以来、文学、芸術を中心にして政治、社会、思想など多方面にわたる評論・創作活動に従事し、戦後日本を代表する知性ともいうべき加藤周一(1919~ )の、旧制高校時代から1979年までの主な活動を集成する。本著作集は、収録著作を精選し、あらたに「追記」「あとがき」による註を加えた、著者自身の編集になる。
感想・レビュー
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もっひぃ
6
前半では、フランスの「抵抗」の文学としての詩を解説していた。正直、詩自体は全然分からなかったが、文化運動としてのそれらの歴史的位置付けは理解できた気がする。ナチズムの部分は、今まで関連の書籍をいくつか読んだことがあったのでスラスラ読めた。「日本の軍国主義者が作ったのは、墓場と廃墟だけであった。イタリアでは、そうでなかった、いわんやドイツではそうでなかった。」興味深い。2017/03/19
呼戯人
6
1950年代にフランス留学から帰国した加藤周一が、ヨーロッパの現代思想について著した傑作。日本文学や日本文化について多くの本を書いてきた加藤だが、こんな鋭いヨーロッパ思想に関する註釈を書いていたのだ。カトリシズムやプロテスタンティズムに関する代表的な思想家が紹介されることのなかった時代に、グレアム・グリーンやカール・バルトを紹介している慧眼に感服する。そして、なによりファシズムの文学的表現としてゴットフリート・ベンを取り上げたり、工場労働者の問題としてシモーヌ・ヴェイユを取り上げている。2015/08/09