内容説明
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マチネ・ポエティクのひとりとして『1946 文学的考察』で文壇に登場して以来、文学、芸術を中心にして政治、社会、思想など多方面にわたる評論・創作活動に従事し、戦後日本を代表する知性ともいうべき加藤周一(1919~ )の、旧制高校時代から1979年までの主な活動を集成する。本著作集は、収録著作を精選し、あらたに「追記」「あとがき」による註を加えた、著者自身の編集になる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モリータ
9
前半の三国紀行を飛ばして、後半を帰りの飛行機で読んだ。カントが生きていてもしなかったであろうSNSなどしない、という知人がいるが、旅行中、加藤周一は旅先で写真を撮っただろうか、撮っても絶対に自撮りはしなかっただろうと思いながら写真を撮っていたら、月報で吉田秀和が加藤周一は写真を撮らなかったと書いていた。パリの鉄道のアナウンスが日本ほど親切でなくても「子供を尊重する社会にはら総じて成人をも子供扱いにする一面がある(63頁)」とすれば、どうしたら日本で成人になることができるか考えながら生きなければと思う。2015/03/25
Ikkoku-Kan Is Forever..!!
4
「ロシア人の酒の呑み振りとか、パリの裏話とかいうことにむやみに詳しい旅行記なるものを私は好まない」p18という筆者の紀行文には、ほとんど人間が描かれていない。そこに描かれているのは人間というよりも、人間の暮す社会ないし営んでいる社会生活そのものである。物価がどうとか、労働状況だとか、生活環境の描写。紀行文ではなく、もはや新聞記事を読んでいる気分になる。「かつてこういう人間たちが住んでいた」という興味よりも「かつてこういう社会があった」という興味。文学部ウケしない理由のひとつはこの辺にある気がする。2014/09/13
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