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内容説明
日本民族の祖先たちは、どのような経路をたどってこの列島に移り住んだのか。表題作のほか、海や琉球にまつわる論考8篇を収載。大胆ともいえる仮説を展開する、柳田国男最晩年の名著。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
41
【沖縄25】晩年の作(1961年)。柳田国男はどちらかというと初期の山人論の方に心惹かれるが、沖縄と言えば本書を外すわけにはいくまい。本書は論文集だが、すべて沖縄(八重山や奄美を含む)の民俗を手掛かりに日本の原初の姿を明らかにしようとする論考ばかりだ。著者75歳から86歳までの文章は、相変わらず私などには手強過ぎるが、それでも日本史に埋もれてしまった日本の常民の姿を甦らせようとする意欲に感服する。ほとんどが結論的な断言をしていないので欲求不満にもなるが、それは後世の民俗学徒ひいては私たちに宿題を与えて↓2021/11/19
HANA
36
我々はどこから来たのか。日本人の起源を沖縄の習俗と絡めながら、常世や弥勒信仰、昔話を手がかりに解き明かそうとしている非常に壮大な論文。表題作では日本人の起源というよりは、むしろ稲作の起源という印象を受ける。「稲の産屋」でもそうだけど稲作以前の事を意図的に無視しているような気がしてならない。むしろ常世を中心にした「海神宮考」「根の国の話」「鼠の浄土」、八重山と鹿島の共通を述べた「みろくの舟」の方が文化の伝播を知る上で興味深く読めた。それにしてもこの本、何故か読みながら不思議な郷愁を感じさせられる。2013/03/06
nata
4
本書では晩年の作が多いため、証拠が必ずしも十分でない仮説もあえて提示しており、なにか後進への宿題というか遺言のようでもある。あるいは当時にしてすでに古い言葉や風俗が急速に失われつつあった事に対する危機感ゆえか。次は本書の中の問いにどのような進展が見られたのか知りたくなった。2020/08/31
にご
3
○知識量が少ないのと文章が古いのとで読み終わるのにやたら時間がかかりました。わからないところが多くあったものの面白かったのは、民俗学特有の多くの事実を集めて推測する姿勢があったからかなぁ。勿論この本では推測だけで終わっているし、この論文後にいくらでも新たな事実が発見されている訳だけれど、柳田先生のたくさんの事実に対して感じている希望がとても好ましかった(と言うと生意気だな)。「根の国の話」と「鼠の浄土」が特に好き。2013/02/24
じょういち
2
「根」という漢字に囚われて、本来の根の国の意味が喪失しているという指摘に代表される、作られた歴史が固定概念を生み、今日の解釈を狭くしているという指摘。そんな危機感を柳田は覚えていたのだろか。沖縄が当時置かれていた状況と、そういう点で照らし合わすことはできそう。2013/09/03