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内容説明
柳田国男が、日本の各地を渡り歩き見聞した怪異伝承を集め、編纂した妖怪入門書。現代の妖怪研究の第一人者・小松和彦氏が最新の研究成果を活かし、原典に当たり、詳細な注と解説を入れた決定版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
47
柳田国男の妖怪に関する論文というより随筆集と言ったほうがしっくりくるような一冊。一編一編が短くテーマを絞って書いているせいか、いつもの眉間に皺を寄せている様な内容ではなく好きな事を好きなように語っている様な内容で、こちらも読んでいて穏やかなような懐かしいような気分にさせられた。内容も河童や山人、一つ目小僧に天狗に日暮れ時とこちらのノスタルジアを掻き立てるものばかり。後年の柳田民俗学がこういう物を切り捨てなければどうなっていたんだろう。それにしても「妖怪名彙」の注釈、微に入り細に入りその詳しさに圧倒される。2013/09/12
テツ
19
柳田國男による妖怪についての論文。こどもの頃に祖母から冬休みに買って貰った水木しげるの妖怪辞典を読んでから今に至るまで妖怪とか怪異とかその手の話が大好きで仕方がない。怪異譚そのものではなく怪異の成り立ち。妖怪の分布と変容。彼らのルーツとは何か。河童や天狗。日本人なら誰もが知る大物メジャー妖怪でも(だからこそか?)そのルーツはとてつもなく広く深い。面白い。ただ生きる上において全く役に立たない知識なので読む人間を選ぶよな。大人になってもこの手の話が大好きな方には是非一度チャレンジして頂きたい。2017/01/03
春風
18
柳田國男の唯一の妖怪論文集『妖怪談義』。刊行は1956年だが、収録される論文・エッセイは戦前発表のものをそのまま編んだものとなっている。妖怪研究の必読本である本書だが、校閲作業を行わなかったためか、省略・誤記・誤解が多くある。そのため本書では文化人類学・民俗学者である小松和彦氏が校注を行い、省略・誤記・誤解と思われる箇所を指摘し、難解であった『妖怪談義』に再び命を吹き込んでいる。また本書収録の妖怪名彙には、ゲゲゲの鬼太郎でお馴染みの妖怪がずらりと並んでいる。この書無くして、鬼太郎も生まれなかっただろう。2020/10/04
roughfractus02
9
自然に囲まれて生きていれば、世界は流動し変容しながら一定のリズムやルールを持って生きているように思える。自然は人間同様に生命を持ち、人々が森に入ってその変容とリズムとルールに従わねば脅されて怖い思いもする。著者の聞き書きは、人々が自然の生を告げる者達を生き生きと語る様を読者に伝える。「かはたれ時」(夕暮れ:『君の名は。』でもエヴェレットの多世界解釈と共に出てくる)に始まる本書は、川童、小豆洗い、狐、ひだる神、ザシキワラシ、山姥、山男、狒々、一つ目小僧等となって自然と人間世界と別の生きた世界の存在を語る。2025/02/04
nata
3
他の方も書かれているが、私も子供の頃水木しげるの『妖怪事典』という横長の版で見開きの左が画、右が文の本を読んでいたのを思い出した。そこに描かれた妖怪にはこの本に出てくる名前も多く、柳田は妖怪論にも大きな影響を与えたようだが、その方法は結構雑だったらしいことが解説で指摘されている。実際読んでもそういう印象で、強引に感じるところも少なくない。ただ当時としてこういう角度で真面目に妖怪を捉えようとした姿勢に功績があるのかもしれない。2021/04/24
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