内容説明
現在の岩手県遠野市は、以前は山にかこまれた山間隔絶の小天地だった。民間伝承の宝庫でもあった遠野郷で聞き集め、整理した数々の物語集。日本民俗学に多大な影響を与えた名作。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
116
古き良き日本がここにはあるような気がしました。民間伝承の宝庫である遠野。天狗、河童、動物、幽霊、人間、雄大な自然が紡ぐ伝説や怪異譚は、豊かな暮らしを伝えるもののように感じます。中にはゾッとするものもあるけれど、美しい日本ならではの姿がありました。かつて自然や妖怪、八百万の神と共存してきたことを思い起こさせます。2016/06/10
ねりわさび
75
著者が知人より聞いた遠野にまつわる奇談、およびその続編を収録したフィールドワーク本。編集された時代背景のため当時この本を文学的存在として昇華させようとする文壇の魂胆が文章から見え隠れするのですが、そんな小難しいものでなくこれは純粋に大衆向けに編纂された怪談本の元祖と思いました。続編以外は旧仮名遣いなので少し読みにくいですが、内容は非常に興味深いものばかりで楽しめました。日本昔ばなしなどを彷彿とさせる短編集。という観点もできて面白かったですね。2021/09/16
おか
73
正に 怪談物の原本だと思う。柳田國男は民俗学の先駆けです。この岩手県遠野の伝承話は 自分が集めた物と 当時遠野に住んでいた作家の佐々木喜善の協力を得てまず「遠野物語」を そして数年後「遠野物語拾遺」として纏め上げた。一番有名なのが 座敷わらしです( ◠‿◠ )でも 読んでみると 座敷わらしといっても まぁ何人もいる、、、笑そして伝承されている話には どこの某とか つい数年前まで生きていた人の証言だとか 真実味溢れる奇妙な話(笑)でも その奇妙な伝承を信じ 避けるべき災いを避ける縁として人々が生きています2018/05/15
シ也
59
遠野に行く予定だった(遠野は山寺に化けた)ので、読んだ本作。始めて読んだのは中一の時なので、実に六年ぶりの再読となる。「え、怖っ」となるような話や「だからなんだよ」と突っ込みたくなる話などバラエティ豊富で、“古き良き日本”の一つの形が描かれているように思う。特に興味深いのは妖怪の話。赤い顔のカッパ。カッパの話には本物説は置いておいて異人説等色々ある。ここでのカッパの正体は一体...2016/03/15
吉田あや
58
日本民俗学の父と呼ばれる柳田國男先生。岩手県遠野の民間伝承を採集してまとめられた「遠野物語」。日本の原風景を牧歌的に語るのではなく、昔話のように教訓を含んだもの、風習や伝説と共にとりとめのない世間話が含まれているのも口承たるリアルさで面白い。目に見えない世界が信じられ怪異が不思議としてではなく、人々の生活と地続きだった古き時代。時に閉塞感があり、時に温かみをもって周囲と繋がり、年中行事で四季を感じ、目に見えないものを想う心の豊かさ。現代に語り継がれた物語などの原点もたくさん含まれていて感慨深く面白かった。2014/06/11
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