内容説明
近衛帝崩御で、関白忠通は守仁王の擁立を策するが、少納言入道・信西の進言により雅仁親王が践祚する。忠通は、藤原氏の長者の座を父忠実と異母弟頼長の手から奪い取らんがため、保元の乱を惹き起こすことになる「新院御謀叛」を策謀する。かくして鳥羽院崩御からわずか九日後、崇徳院と後白河帝、忠通と頼長は兵を交え争うが、その結果、進んで戦いの指揮を取り、勝者となった信西が、御世の政局を動かしうる者となった。
目次
保元の巻(承前)(流星;後白河帝踐祚;一院崩御;新院御謀叛;合戦前夜;走狗招喚;頼長入京;信西刮眼;為朝進言;兵揃;白河夜討;為義警戒義朝苦戦;北殿炎上)
平治の巻1(敗残;急落摂関家;頼長最期;新院御出家;為義出頭;朝廷衰退;斬首復活;狼狽)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
68
ようやく折り返し地点です。保元の乱が父子や兄弟の争いというのが何とも言えません。「新院御謀叛」を策謀するのが、権力を握るための方法なのかと思わされます。そのために兵が交わったのだと知らしめられました。争いで衰退していく人々の中、栄えることを手にした清盛、一族や位牌から出ることで力を得ることに信西が、勝者と言ってもいいと思いました。 2019/05/26
かふ
16
少納言入道・信西は、藤原南家の貴族であり、それまで摂関家だった藤原頼長は藤原北家であるから、藤原家の勢力争いとともに、美福門院(藤原得子)と待賢門院(藤原璋子)の皇后としての争いもあった。そのポイントになるのが鳥羽院であり待賢門院よりも美福門院に付いたので、雅仁親王が後白河天皇になって権力の移行の中で失墜していくのが藤原頼長と崇徳新院であり、鳥羽院は多少崇徳新院に恨みがあったというか、白河院の愛人でもあった待賢門院が許せなかったのか。2025/02/12
ネコ虎
13
何年振りかでやっと8巻を読み終える。登場人物が複雑過ぎて訳が分からないのと、同じことの繰り返しで全く先に進まないのとで断念していたが一念発起。保元の乱に至る話でようやくスッキリしてきたし、源義朝や平清盛らの出現で先行きが楽しみになる。摂関家が衰退する理由と権力の委譲など現代にも通ずる政治力学が語られるのは興味深い。2018/08/05
tsukamg
5
保元の乱は、父と子、兄と弟の争いだった。敗者だけでなく勝者も大きなものを失った。得をしたものは、戦いの仕掛け人である信西と、戦いの意味を知ることに意を用いた清盛だけだった。敗者の裁きにおいて三百数十年ぶりに極刑が復活し、停滞し淀んでいた時代の扉は、苛烈な暴力によって開かれることとなる。しかし、それまでの平和の方が異様だったように思える。久しぶりに人間らしい登場人物も出てきた。波多野の次郎信景。2019/05/03
24う゛ぃれっぢ
2
ついに保元の乱に至る8巻。戦を生業としてきた武士たちの躍動で一気に読んでしみました。そして、乱勃発の直前まで、ことを理解できない貴族たち。武士という自分たちの世界から締め出していた者たちを招き入れ、自分たちの価値観で想定できない事態を引き起こされることに気づかない姿に、人間の痛々しさを感じます。この後、信西は、時代の寵児となるのですが、どことなく、藤原仲麻呂の専制とオーバーラップするんですよね、この人のエキセントリックな感じは。よく考えると、同じ藤原南家の出だったりしますが…2014/08/15
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