内容説明
三条東殿を脱出した信西は、土中入定するも追手に見つかり獄門に懸けられる。一方、熊野路から都へ戻った清盛は合戦を決意する。大内に幽閉されていた二条帝は寝返った公卿の手引きで六波羅の清盛邸へ遷り、後白河院も救出され弟宮のいる仁和寺へ。藤原信頼に従う源義朝に、対するは平清盛。賊臣となった信頼は捕えられ死罪、落武者義朝は鎌田の兵衛と共に尾張で謀殺される。都に残された義朝の愛妾常盤と遺児達は……。
目次
平治の巻2(信西逃亡;戦勝除目;信西入定;左衛門佐重盛;清盛狼狽;義朝変貌 ほか)
平家の巻(行賞平家;義朝最期;上皇還幸付常盤道行)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
61
平治の乱のクライマックスと言えるでしょう。躍動する兵士たちに魅力を感じました。少数であっても走り回る源氏と意地を見せる平家。結果、賊臣となった信頼は死罪に、義朝は尾張で死刑になるのに鳥肌が立ちます。清盛はあまり出てきませんが派手で印象的な場面が多くありました。2019/05/29
かふ
20
話をわかりにくくさせているのは橋本治の博識ぶりなのかもしれない。この作品は「物語」とあるが物語的には書かれておらず、むしろ物語批評的な文学だった。それはキャラのある登場人物にスポットを宛てて彼らをヒーロー・ヒロインにする物語ではなかった。「信西」というかなり歴史上は需要な人物なのだが、どうもとっつきにくさがある。僧であるのもそうだが、浮ついた恋バナとか出てこないのだ。感情的な話がなく理知的な人物のようである。こういう人物は面白みにかける。それに話が前後して人物が入り乱れているので誰が誰だかよくわからない。2025/03/25
筋書屋虫六
4
王朝政治の終焉、時代は武士が政治の中心にうつってきました。前巻で親兄弟の首を躊躇いもなく犠牲にした義朝は、その甲斐もなく逆心の汚名を負ったまま落ちて、源氏の家人・長田の庄司の謀で悲惨な最期を遂げる。命の扱い方がなんだか違う武士の感性。落ちてバラバラになった義朝の息子達、常盤が連れた幼子…計り知れない遺恨を持って、この先、平家全盛の時代に潜伏するのでしょうか?それもそうなんですが、後白河上皇の存在感が不気味です。2010/11/22
小葉
4
信西が討たれ、信頼が逆賊とされ、都は戦火に包まれる。少数精鋭の活躍なるも、多勢に無勢の源氏。一人欠け、二人欠け、義朝もついに最期を迎える。義朝の三人の子を抱えた常磐。ようやく「平家物語」っぽくなってきました。2010/11/02
tsukamg
3
平治の乱クライマックス。清盛は意外なほど出番が少ないが、悪源太義平の無双っぷり、信頼の期待を裏切らぬ腰抜けっぷりと、派手で印象的な場面がつづく。清盛の嫡男重盛の見せ場も多い。2019/05/07