内容説明
都へ戻った義朝の嫡男・悪源太義平は首を打たれ、東国への下向途中捕えられた三男・頼朝は伊豆へ流される。一方、大和に身を隠していた妾常盤は幼な子達と共に六波羅の清盛のもとに赴く。御世には、近衛帝の皇后であった太皇太后藤原多子の再度の入内を巡って後白河院と二条帝の新たなる角逐が生まれ、その狭間で摂関家は復活を果たす……。乱後の政局は動き、欲を知らぬ清盛は己れの意志と関係なく栄華の道を駆け上る。
目次
悪源太漂泊
清盛変貌
二代后
分水嶺
御親子相剋
頼朝命乞
桟敷諍
御幸
二卿追放
嘆願常盤〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まりこ
5
平清盛の野心のなさ。後白河院の朝政への無関心にも関わらず色々なものへの執着。賞されれば遺恨は忘れられる都の流儀。遺恨を抱いて生きるという重苦しさい生き方が都にはない。賞されるまでは、遺恨を隠す。遺恨をは恩着せがましさを成り立たせる債権。面白いなと思った。2018/11/22
zeroset
3
いよいよ平家繁栄の時。しかしここでの清盛は、流されるかのごとく主体性が無いままに位人臣を極め、”憂慮をためらいを友とするような男だった”と描写される様な男。今まで様々な物語で描かれてきた人物像とはだいぶ隔たりがあって面白い。2021/04/06
小葉
3
義朝の子らの処遇。池の禅尼による頼朝の命乞い。摂関家と清盛の結びつき。藤原邦綱。50歳で太政大臣に。ここに描かれている清盛は荒ぶらず野心がない。 1年以上中断していたが、大河ドラマにあわせて読書再開。2012/02/11
のら
2
二条天皇〜六条天皇。平治の乱の後日談から始まり、清盛出家まで描かれます。主人公はようやく清盛へ。しかし! この清盛は野心を持ち合わせません。その武力を(行使しようとしまいと)必要とされる時に、摂関家、後白河院、二条帝から新たな地位を与えられます。院の飼い狗だったころと内面は変わらぬまま位人身を極めていくのです。時忠に愚かと嘲られても外戚への野心を持ちません。狗仲間の邦綱と摂関家の財産簒奪(はたから見たら分を弁えぬ許しがたい行為だろうなあ)を謀ったあたりから、脳裏にちらっと栄華を思うくらいで、あっと言う間に2015/08/12
ybhkr
2
11巻にしてやっと平家がメインの赴き。権力にとらわれた女性のあわれ。清盛は権力にとらわれた人たちに翻弄される立場として描かれていておもしろい。清盛自身に野心はなく父を越えた時点で満たされているのに周囲がそれを許さない。あれだけ尽力して命を救った頼朝に娘も孫も自身も追い詰められることになるとは、清盛の継母は想像もしていないのだろうな。後白河院と滋子は絆で結ばれている説もあるけど、こちらは薄い関係。後白河院は清盛の嫡男重盛をご寵愛。さて続きはどうなるか。2013/10/19