内容説明
摂関家の長、関白藤原頼通と父帝・後三条帝との不和により十六の齢まで不遇の時を過ごした白河の帝は、摂関家嫡流の地位を取り戻し、家筋の優位を保とうとする頼通の嫡子・師実にかしずかれ、大いなる権勢を恣にする。白河帝を帝王たらしめた師実は、八歳で御位に即いた堀河帝の摂政となるも、幼帝は父の君たる白河上皇の傀儡にすぎず、摂関家の威勢は失墜する。白河帝は、太上天皇として御世を掌握し、院政の時代を開く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
68
摂関家の藤原頼道と父帝・後三条帝の不和のため、白河天皇は不遇の時代を過ごされたのですね。しかし、摂関家嫡流の地位を取り戻し、権勢を立てたのが流石だと思いました。権力が天皇から上皇へと移り変わりつつあることで、藤原氏の権力は下降しているのだと思いました。そしていよいよ平清盛登場の予感がします。2019/05/21
りー
8
前巻で父帝の愛を得られず幸薄かった若者は、後に白河帝と呼ばれる帝になりました。摂関家から奉られた愛する中宮=賢子との間に子を授かり、叶わぬ事など何一つ無いという時に、賢子が世を去ります。その後、白河帝の人格が闇落ちして変わっていく様が恐ろしかったです。―遡ると、頼道が一番ダメだったのでは?という書かれ方。白河帝の歪みは後三条帝から。後三条帝の歪みは頼道の手抜き(男色に走って子作りしなかった)から。都がぼーっとしている間に前九年の役、後三年の役が奥州で起こり、武家勢力にも変化が。さて、清盛さんまであと一巻!2018/10/25
小鈴
5
白河帝の登場で、乱世に至る。帝が私欲を持つと世がどうなるか。外戚による摂関政治ですら権力制御装置だったことに気づかされる六巻。藤原頼通と蘇我エミシは二人とも栄華の上で、天皇家へ嫁入りを疎かにするところが似ている。父の代で栄華に達し、積極的に子供を作らず、交換によって築いた権力を喪失する。 2010/08/31
小葉
3
白河帝の巻。若い頃は不遇だったようですが、帝となってからはやりたい放題ですね。権力を持った桐壺帝って感じ。あるいは中年壮年期の光源氏のエピソードもあれこれ思い浮かびました。時間があちこちして、くどくどしく思わないでもありませんが、大事なことだから何度も語られてるんですね、きっと。2010/08/31
tsukamg
2
中宮賢子を愛しすぎたがゆえに、喪失の嘆きは甚だしく、亡き妻にそっくりの娘を溺愛し、その一方で、そこら中の女相手に肉欲を満たす、御代の最高権力者白河院の時代。権力の中枢が天皇周りの朝廷から上皇周りの院に移り、藤原氏の権勢は衰えてゆく。他方、東国では源義家が武士達の支持を集める。いよいよ、やっと、次巻から保元の乱。平家の物語が始まる。2019/04/11