内容説明
聖武の帝の御世、長屋王は謀叛の咎によって自害する。だが、政敵を葬った藤原一族に栄えはなくやがて都に蔓延した疫病で藤の四兄弟は揃って世を去る。一方、県犬養橘三千代は、長屋王の変後、娘の立后を策し、藤原の夫人は光明皇后となり、異父兄、橘諸兄が実権を握る。藤原広嗣の乱、繰り返される遷都、橘奈良麻呂のクーデター……。天王貴平知百年──「人は死に、貴い天王の知ろしめす世は、まだ平らかだった」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
70
聖武天皇から藤原仲麻呂の時代までが描かれます。長屋王は謀叛により、自害するも、藤原一族が栄えることはありませんでした。一方で県犬養橘三千代は娘を策したことで光明皇后となり、橘諸一族が権力を握るのが印象的に突き刺さります。藤原広嗣の乱、繰り返される遷都、橘仲麻呂のクーデターなど大変な時代だったのですね。2019/05/20
かふ
19
聖武天皇と藤原四家ということだろうか。藤原四家は優遇されてはいるもの不比等の頃のように絶対権力を手に出来ていない。また四家同士も意見がまとまっておらず、長屋王の乱、藤原広嗣の乱、橘奈良麻呂の乱が起きる。その度に聖武天皇は怯えて遷都したり、仏教に救いを求めたり、女性親王を東宮に据えたりして、政情を混乱させる。天皇がもっとも権威があるのだが、その天皇のせいで病やら政情不安の乱が起きたりするのだと一人の力ではどうすることも出来ずに、結局藤原家の力を借りることになるのだが、藤原家の対立構造があり、仲麻呂と奈良麻呂2024/11/01
小鈴
5
この本の構造は、平家滅亡を鎌倉時代の読者に読み聞かせるために往古から天皇を取り巻く一族との関係、そして平安時代に権勢を欲しいままにした藤原氏が権力を得た歴史を説いているのだが、官僚制の興り、仏教の制度化と「この国の形」の歴史も知ることができる。天皇の土地から私有地の始まり(墾田永世私有)、資本の蓄積の始まりまで。人のドラマにとどまらない。橋本治すげーな。 2010/08/08
えぐざいる
4
梅原猛の「海人と天皇でも、かなり独自の考察が展開されてましたが、宮子の狂気、怪僧玄昉、そして女東宮のいびつさ、今までの巻きでもよりもっと陰惨な、どの人物にとっても救いのなさが、でもしっかり日本の枠組みができて行ってるところが、この蔓をだどった今の時代のやるせなさ、だとか、だったらなんでもありのようないろんな思いを重ねて読んでいました。そしてこんなくどくど書くより、持統天皇の執念がムスコムスメに大迷惑、、というストーリー展開も面白かったです2010/01/20
森下司
3
もう、群像劇だと思って読んでます。房前と奈良麻呂が不憫、もっと不憫なのは聖武天皇の気まぐれ遷都に振り回される庶民、ってところでしょうか。自分がこの時代の庶民だったら、野垂れ死、餓死はまぬがれないかと思った。朝廷・貴族たちの立ち回りだけではなく、この時代の庶民、国の形までも知ることができる群像劇だと思ったら、俄然面白くなってきました。平家? ああ、まだ影も形もありませんねぇ。2012/04/30
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