内容説明
安元三年、都では、亡き信西の乳母子・西光の息子が白山の寺僧達と加賀・鵜川で起こした騒動に端を発した叡山大衆の強訴、さらに大内炎上と事件が続く。重盛と愛情関係にあった藤原成親は、平氏の専横を憎み、後白河院の近臣達と俊寛の預かる鹿ヶ谷の山荘に集い、「平氏打倒」の謀議を重ねる。しかし、多田蔵人行綱の訴人によって事は露見し、院が背後で関与したことがわかると、清盛は院の罪を問い、幽閉しようとする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
61
平家物語が本格的に見えてきたようでした。唐突な清盛像に戸惑いすら感じました。叡山大衆の教訴、大内炎上と事件が続くのも恐ろしいものがあります。藤原成親は平家を憎み「平家打倒」の謀議を重ねますが、事は露見し、後白河院が背後で関与するのがリアルでした。清盛が院の罪に気づき、幽閉しようとするなど、軋轢を挟んでいるのですね。2019/05/30
練りようかん
14
比叡大衆の強訴と大内炎上。清盛と後白河院のあいだに時勢あり、二人の関係は何とも言えないところが興味深い。この巻で最も内面を掬い上げた印象を受けたのは重盛で、入道になっても口出しする清盛と、世間から嫡男と見られ続けることは嫌だと太政大臣をのぞむのだが、読んでいるうちにある種の父殺しに思えたのが発見だった。清盛、重盛、資盛の三代で、シリーズ通しての父子・祖父孫の構図がまたもやはまり、父性の機能不全が争いや叛乱を大事にする様が描かれていると感じた。また栄華の枝葉を宿木と表現したくだりが素敵だった。次へ。2026/08/27
tsukamg
2
重盛が主役の巻。隠居した清盛は福原に住まいを移し、重盛は都をがっちり抑える。平家一門を率いながらも、院・お主上・朝廷・摂関家のパワーバランスを考慮する重盛は、清盛より政治の資質に恵まれている。これで平家は安泰…のはずだったが、清盛は重盛のやり方を手ぬるいと思い、使者を遣わし、やいのやいのと重盛を煩わせる。重盛はさすがにウザいと思い、自立するためあえて権力を得ようとする。ここで成親が激怒りし、鹿ヶ谷の陰謀に繋がる。重盛が父に諫言する場面は大変迫力がある。こりゃ、重盛死んだら平家ダメだわ、と思わせるに十分。2019/05/13
glaciers courtesy
2
平氏の全盛時代。しかし、摂関家全盛のような揺るぎの無さは無い。時代の温度は高く、どのようにも移ろってしまう危うさが満ちている。創業者の平清盛にではなく、2代目の重盛にどちらかと言えばシンパシーを感じてしまうのは、己のサラリーマン気質の現れかな。しかし平重盛もなかなかの人物だと思うよ、実際。2010/04/04
kuchen
1
祇王と仏御前の話、重盛と清盛の確執、鹿ヶ谷の謀議。清盛は自分と一族のことのみを考え、周囲の心情を斟酌しなかったのだと思う。祇王と仏御前の話は、無常と凛とした姿に涙腺が緩んだ。2016/06/11
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