内容説明
道中支度の長身、風雨に晒されて黒く変色した三度笠が大粒の雨を弾き返している。次の瞬間、大音響が轟いた。渡世人は落雷の衝撃で意識を失った。二十年ぶりに生まれ故郷の三日月村を訪れた紋次郎であった。石切り人足与作の孫娘に助けられて回復した紋次郎は、与作老人が、実は盗賊泥亀の喜三郎の仮の姿だと知る……。サスペンスと鮮やかなどんでん返し!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
文句有蔵
4
「あっしには関わりのねぇこと」と言い続けながらのお人好しの道中記。というのが「木枯し紋次郎」というシリーズなんだけど、初めて紋次郎が他人の為に必要のない殺人をする。「冥土の花嫁を討て」がそれだ。「冥土の花嫁」という言葉をまず思いつき、それに合わせてネタを捻り出し、割り当てページが足りなくなって、突然辻褄合わせをするようにベラベラ喋りだす女。というひどい有様ながら、「あっしにもまだ人の心が幾らか残っている」という紋次郎に免じましょう(笑)いやいや紋ちゃん、キミは十分人間臭いがな!(^-^*)2014/10/20
桂 渓位
3
時代劇ながら、ミステリー色が特に強い一冊。 さすがは、笹沢先生の筆力です。2019/06/16
mnagami
1
6冊目となるとだいぶ飽きてはくる。が、どんでん返しがなかなか渋い作品があり、次も読みたくなる。しかし笹沢左保のストーリーをつくる力はすごい2016/08/25
仲居 令
0
生まれ故郷でも平穏はない紋次郎。 始まりと終わりの他人への対応の変化が、余所者と自身決めつけながら、どこかで故郷に期待するものがあったのかと想像できてあまりに物悲しい。2021/12/14