内容説明
二三巻と併せて二〇世紀後半を扱う.本巻は国際関係・政治に焦点をあてる.体制選択を迫る冷戦と結びついた暴力は,脱植民地化を遂げた国々で熱戦や内戦を引き起こした.一方,グローバルな連帯を体現する国連システムが成立し,反戦運動,人権や環境への意識も広がった.第三世界・周辺の視点から冷戦期の光と闇を描く.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.
目次
展 望―Perspective
はしがき
自律と連帯――冷戦時代の熱い戦争を超えて………峯 陽一
はじめに
一,世界大戦の終わり方
二,冷戦の暴力と民族自決
三,第三世界の旅
四,資源,環境,敵と友
五,ポスト冷戦時代のはじまり――平和,平等,尊厳
問題群―Inquiry
国際関係史としての冷戦史………青野利彦
はじめに
一,冷戦の起源と分断体制の成立
二,冷戦と同盟
三,脱植民地化と冷戦
四,核兵器と冷戦
五,デタント(緊張緩和)
六,冷戦の終焉
おわりに
脱植民地化のアポリア………難波ちづる
はじめに
一,脱植民地化の起源
二,脱植民地化の始動
三,戦後ヨーロッパの復興と植民地開発
四,脱植民地化と人の移動
五,相次ぐ独立と苦悩
おわりに
地域統合の進展………川嶋周一
はじめに
一,欧州統合史研究と統合の前史
二,統合の成立――戦後における統合の模索からローマ条約まで
三,欧州共同体の制度化と変容――一九六〇年代から八〇年代前半までの統合
四,欧州統合のメタモルフォーゼ――一九八〇年代の活性化から欧州連合の成立へ
焦 点―Focus
さまざまな社会主義………南塚信吾
はじめに
一,戦後社会主義
二,「社会主義への多様な道」
三,社会主義体制の世界的展開――一九六〇-七〇年代
四,「新自由主義」との対決――一九八〇年代以降
終わりに
中国のソ連型社会主義――毛沢東の時代………久保 亨
一,戦後中国の出発
二,新政権の誕生と朝鮮戦争の衝撃
三,社会主義化強行後の動揺
四,転換点としての文化大革命
五,改革開放の始まりと天安門事件
六,中国のソ連型社会主義――その特徴,成果と離脱過程
アフリカ諸国の「独立」とアフリカ人エリート………砂野幸稔
はじめに
一,「独立」への過程――アフリカ人「ナショナリズム」
二,「ネイションビルディング」の蹉跌
三,「国語」の不在
四,開発主義の躓きと農村軽視
五,「門番国家」の迷走
六,南アフリカ
結びにかえて
イスラエルの建国とパレスチナ問題………臼杵 陽
はじめに――米ソ冷戦期の中東地域
一,イギリスによるパレスチナ委任統治
二,イスラエル建国とアラブ・イスラエル紛争の展開
三,パレスチナ解放運動
四,和平への機運
ベトナム戦争論………藤本 博
はじめに
一,アメリカ軍事介入の歴史的起源――脱植民地化と冷戦の交錯,一九四五-六〇年
二,アメリカの軍事介入の展開・その実相・軍事介入の挫折,一九六一-六八年
三,世界的なベトナム反戦運動の展開と「アメリカの戦争犯罪」告発の国際的運動
四,戦争の「ベトナム化」による「名誉ある和平」の追求――戦争終結への道,六九-七五年
おわりに――ベトナム戦争の歴史的意義の今日的遺産
オセアニアから見つめる「冷戦」――「核の海」太平洋に抗う人たち………竹峰誠一郎
はじめに
一,マーシャル諸島発「もう一つの原水爆禁止運動」
二,非核独立太平洋運動の誕生と展開
三,「非核太平洋」地帯の創設
おわりに
沖縄と現代世界………戸邉秀明
はじめに
一,要石という名の捨て石――米軍基地がもたらした世界
二,屈折する脱植民地化――復帰運動が切り拓いた世界
三,復帰後半世紀の窮境と模索――解放を求めて結びつく世界
コラム―Column
「現在」から問い直す人権理念と世界秩序………小阪裕城
三八度線で分断された朝鮮半島――その歴史と未来………大沼久夫
脱植民地化と史料の破棄・隠匿………佐藤尚平
アジアを変えた九・三〇事件………倉沢愛子
一九六八年の世界………井関正久