岩波講座 世界歴史 第9巻 ヨーロッパと西アジアの変容 11~15世紀

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岩波講座 世界歴史 第9巻 ヨーロッパと西アジアの変容 11~15世紀

  • ISBN:9784000114196

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内容説明

一一世紀以降,ユーラシア大陸西部では,統治や宗教のあり方の変容,都市社会の発展,官僚制の整備などにより,いかなる種類・形態の「国家」が立ち上がったのか.また境域イベリア半島やアナトリアをはじめとする各地域の内部では,どのような過程で文化混交が進んだのか.トランスカルチュラルに流動する中世社会の実像を描く.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

目次

展望|Perspective
中世ヨーロッパ・西アジアの国家形成と文化変容……大黒俊二/林 佳世子
一,トランスカルチュラルな絡み合い
二,ドイツ――帝国と王国
三,フランス――王権の拡大
四,イギリス――複合国家から島国へ
五,スペイン――レコンキスタとキリスト教諸国
六,イタリア――分裂から分裂へ
七,西アジア(一)――トルコ系遊牧部族の進出と軍人支配体制の成立
八,西アジア(二)――二つの文化圏の成立
九,バルカン・アナトリア――ビザンツ帝国からオスマン朝へ
問題群|Inquiry
中世ブリテンにおける魚眼的グローバル・ヒストリー論……鶴島博和
はじめに
一,岸辺の景観――紀元一棚棚棚年頃まで
二,水平線への目――一一世紀から一三世紀(紀元一〇〇〇-一三〇〇年)
三,水平線の彼方――一四世紀から一六世紀
技術と領海=公海――おわりとして
帝国領チェコにみる中世「民族」の形成と変容……藤井真生
一,中世の「民族」
二,中世チェコ国家の形成と帝国への従属――一棚世紀
三,帝国内でのチェコ人意識の萌芽――一一,一二世紀
四,ドイツ人植民の影響と言語中心主義の登場――一三世紀
五,宮廷の国際化とチェコ人定義の多様化――一四世紀
六,フス派運動と「チェコ人」――一五世紀
七,むすびにかえて
西アジアの軍人奴隷政権……五十嵐大介
一,中期西アジアの軍人政権と軍人奴隷
二,マムルーク朝の成立
三,スルターン位の継承ルール
四,軍人奴隷制と奴隷家族――主人-奴隷関係と同僚関係の理念型とその実態
五,婚姻関係と親族関係
六,「マムルーク化」とその背景
おわりに
焦点|Focus
異文化の交差点としての北欧……小澤 実
一,中世北欧世界の形成
二,辺境の軍事力――ヴァリャーギから十字軍へ
三,辺境のリソース――極域の動物資源
四,辺境の記憶――ノルウェー併合後のアイスランド
おわりに――中世グローバル・ヒストリーと北欧
レコンキスタの実像――征服後の都市空間にみる文化的融合……黒田祐我
はじめに
一,教会へと転用されたモスク
二,ハイブリッドな都市景観の形成
三,中世後期の「境域」――カスティーリャ王国とナスル朝の建築文化にみる文化変容
おわりに
宗教寄進のストラテジー――ワクフの比較研究……三浦 徹
はじめに
一,ワクフとはなにか
二,ワクフの盛行
三,ワクフの目的
四,寄進の比較研究
「女性の医学」――西洋中世の身体とジェンダーを読み解く……久木田直江
一,中世の病因論と身体論
二,キリスト教会と女性蔑視
三,産む性の身体
四,女性の医学
おわりに
イスラーム支配下のコプト教会……辻 明日香
一,はじめに
二,古代末期の継続と崩壊――初期イスラーム時代からアッバース朝期
三,復興期――ファーティマ朝
四,アイユーブ朝からマムルーク朝へ
五,おわりに
中世のユダヤ人――ともに生きるとは……佐々木博光
一,迫害か共存か――第三の道
二,西欧中世ユダヤ人史の画期
三,緊張のなかの共生
四,中世ユダヤ人史
五,結語
コラム|Column
セルジューク朝からオスマン朝へ――アナトリアとイスタンブルの刻銘文資料から……井谷鋼造
史実とフィクションのあわいを探る――歴史解釈としての映画の可能性……図師宣忠
西アジアのキリスト教をめぐる環境の変容――バルヘブラエウスの生涯を例に……高橋英海
朝河貫一とグレッチェン・ウォレン……甚野尚志
子を喪ったイスラーム教徒に いかなる慰めがあり得たのか……大稔哲也

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

崩紫サロメ

19
本巻の領域は前シリーズでは別々に論じられていたが、「常に境を接していたという単純な事実」に基づき、一体として扱う。このような境界を見る新しい視点としては「トランスカルチュラルな絡み合い」、つまり目的論や直線的発展論を排除し、生々流転そのものを歴史として注視するあり方が紹介され、各論では国民国家形成を「目的」とせずに論じていく。ただし、目的論を排除した「絡みあい」論も突き詰めれば歴史的変化に一切の変化を認めないことになり、歴史認識そのものが困難になることも留意しなければならないとする。2022/11/05

MUNEKAZ

16
キリスト教圏、イスラム教圏の区別がはっきりしたように思える中世後期。だがその内部では、異なる民族・宗教の人々が「緊張のなかの共生」を送っていた。エジプトのコプト教徒、ドイツのユダヤ人、ボヘミアのチェコ人とドイツ人といった微妙なバランス関係の中で暮らす人々を捉えた章が印象的。レコンキスタを成し遂げたスペイン王は、イスラム文化を称賛するが、それは王の荘厳化のためであって、決して異教徒への「寛容」を示すものではないということ。緊張とあいまいさを内包しながら、巨大な信仰圏が成立していたことが端的に示されている。2022/09/29

ポルターガイスト

3
8巻と続けて読んだが結局のところイスラーム王朝史+中世ヨーロッパ史を同じ巻でやる意義みたいのはわからなかった。(世界史探究の教科書もそうだが)同じ章に入れたとしても別々の論考で分けて論じてたら同じじゃないのと思ってしまう。まあ巻数(単位数)の節約のためにはこういう構成の工夫が求められているということで。個人的には最後の二つの論考(コプト教会,ユダヤ人)が興味深かった。2025/02/28

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