岩波講座 世界歴史 第16巻 国民国家と帝国 19世紀

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岩波講座 世界歴史 第16巻 国民国家と帝国 19世紀

  • ISBN:9784000114264

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内容説明

「長い一九世紀」──フランス革命から第一次世界大戦までの約一二五年間に,国民国家と植民地帝国はいかに形成されたか.本国と植民地および国内辺境の相互関係に着目しながら,海域の変容,奴隷制の転換と移民の急増,人種主義・ナショナリズムの醸成により,「国民」や「国家」の境界が定められ再編されていく複雑な過程をとらえる.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

目次

展望―Perspective
「混沌」から「傲慢」へ――「長い一九世紀」におけるヨーロッパと南北アメリカ………北村暁夫
はじめに
一,人口増大と社会の変容
二,変革と抑圧のあいだ――フランス革命から一八四八年革命まで
三,過渡期の時代――一八四八年革命からドイツ統一まで
四,帝国主義の時代――ヨーロッパの「絶頂」と南北アメリカの台頭
問題群―Inquiry
ヨーロッパにおける国家体制の変容………割田聖史
はじめに
一,「ヨーロッパの協調」の成立
二,「ヨーロッパの協調」の動揺
三,国家体制の変容
四,「ヨーロッパの協調」の再編と二大陣営化
五,「帝国の国民化」と「国民国家の帝国化」
おわりに
ナショナリズムとジェンダー………姫岡とし子
はじめに
一,ジェンダー化されたネイション形成
二,ネイション活動への女性の参加
三,覇権的ナショナリズムとジェンダー
おわりに
移民の世紀………貴堂嘉之
一,「移民の世紀」と国民国家再考――人の移動史からみる「長い一九世紀」
二,「長い一九世紀」における人の移動のグローバル・ヒストリー――越境論的転回後の歴史学
三,ヨーロッパとアジアからの人の移動史――「移民国家」という歴史像の再検討
焦 点―Focus
海域から見た一九世紀世界………金澤周作
一,壮大な過渡期
二,海における生
三,普遍知と国家間競合
奴隷貿易・奴隷制の廃止と「自由」………並河葉子
一,大西洋奴隷貿易とその廃止
二,二次奴隷制
三,解放されることの意味
むすびにかえて
一八四八年革命論………中澤達哉
はじめに
一,「長い近世」と「長い一九世紀」
二,実態
三,構造
おわりに
「イギリス」にとってのアイルランド………勝田俊輔
一,アイルランドと「イギリス」の関係史
二,アイルランド人移民のインパクト
三,連合王国政治におけるアイルランド
四,ナショナリズム・ユニオニズム・リベラリズム
五,二つのアイルランド――独立と自治
一九世紀前半,米国の領土拡大と大西洋革命――テキサスを中心に………二瓶マリ子
一,米国の領土拡大とスペイン領アメリカ植民地
二,グティエレスの反乱と米国の対応
三,独立後のメキシコにおける大西洋革命の継続とテキサスの独立
四,テキサス独立/併合をめぐる国際情勢
五,ルイジアナからカリフォルニアまで
近代ヨーロッパとユダヤ人………野村真理
はじめに
一,近代ドイツとユダヤ人
二,近代ポーランドとユダヤ人
おわりに
植民地統治と人種主義………工藤晶人
一,西洋世界と人種主義
二,「はざま期」の証言
三,国民国家の「外部」
コラム―Column
一九世紀フランス社会とメディア………小倉孝誠
世界史のなかの「明治維新」………奈良勝司
欧米諸国における科学の制度化と発展………石橋悠人
政治的スカンディナヴィア主義………村井誠人
万国博覧会とジャポニスム………寺本敬子

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

さとうしん

14
北村氏の展望ではフランス革命の起点に諸説があること、西欧諸国の植民地獲得の動機について「文明化の使命」が注目されていることなどが示唆されている。「文明化の使命」は、並河論文によると英仏による奴隷制廃止の拡散にも影響したとのこと。「文明化の使命」はまた、中澤論文で触れられる西欧のスロヴァキアなどに対する「歴史なき民」という視線とも関係するであろう。貴堂論文では、「移民国家」の印象が強いアメリカではあるが、南北戦争の頃までは「奴隷国家」「奴隷主国家」と位置づけるべきであるという議論を紹介する。2024/01/18

MUNEKAZ

13
「長い19世紀」に関する認識のアップデートにはちょうど良い一冊では。国家体制の変容やジェンダー関連、ユダヤ人に関する話題などドイツに言及した章が多めかな。また総論を書いている方がイタリア史の専門なので、英仏に偏らずイタリアに関する言及が多めなのがちょっと新鮮な印象。両国とも19世紀に「生まれた」強国であり、時代精神を代表するところがあるのかもしれない。奴隷は開放するけど移民は酷使する。「文明化の使命」を唱えながら植民地を獲得する。この理想と傲慢のダブスタ具合が帝国主義の時代らしいところである。2024/02/21

かんがく

11
展望だけちゃんと読んで、残りは流し読み。フランス革命から1848年革命を経て第一次世界大戦に至る「長い19世紀」についての最新研究を概説。革命と戦争の中で国民統合の統合が進み、自由主義や民主主義、人権、解放などが声高く宣言される一方で、奴隷貿易、植民地支配、疑似科学などの暴力的な側面ももつというのが時代の特徴。2024/03/04

なつきネコ@混乱中

8
前に読んだマーシャと白い鳥のお話の別作者の本だったのか。題名が違うから気づかなかった。しかし、イラストが違うと与える雰囲気が違う前のマーシャと白い鳥は激しく大冒険みたいにみえていたけど、このイラストでは等身大のマーシャの冒険みたいにみえる。良い意味でリアリティがあって、兄弟なりの冒険を繰り広げて、帰ったんだなと思える。2022/07/15

ポルターガイスト

3
タイトルから期待したとおり「統合と分化」について一面的な理解を揺さぶる刺激的な論考が多くよかった。特に移民,近代奴隷制,ユダヤ人について扱ったものは授業づくりの参考になったと思う。授業のなかで19世紀の国民形成という主軸をしっかり叩き込みつつ(それがないと混乱だけに終わってしまう子が多くなるから。安心させるために)それと矛盾する動きが糾える縄の如く交錯していたことにどれだけ気づけるか。喉に引っかかる骨を取り除いてやりつつも,認知的不協和に耐える訓練が必要になる。2024/03/31

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