岩波講座 世界歴史 第3巻 ローマ帝国と西アジア 前3~7世紀

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岩波講座 世界歴史 第3巻 ローマ帝国と西アジア 前3~7世紀

  • ISBN:9784000114134

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内容説明

ローマ帝国を「古典古代」「地中海世界」の視角から解き放ち,西アジアとの共時性やつながりを重視しつつ「帝国」としての実像を探究.両地域の双方向的な政治史はもちろん,都市や生活のあり方,被支配者やマイノリティの主体性,文化・世界観の多彩で選択的な「翻訳」,ユーラシア規模での経済活動の実態など,最新の知見で活写する.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

目次

地 図
凡 例
展 望―Perspective
ローマ帝国と西アジア――帝国ローマの盛衰と西アジア大国家の躍動?????南川高志
一,ローマ帝国と西アジアの歴史
二,ローマ帝国の形成と西アジア
三,ローマ皇帝政治の成立
四,帝政期のローマ帝国と周辺地域
五,皇帝政治の進展
六,帝国最盛期のローマ社会
七,ローマ帝国の変容
八,ローマ帝国の衰退と西アジアの激動
九,ローマ帝国の記憶と表象
問題群―Inquiry
ローマ帝国の支配とギリシア人の世界?????藤井 崇
一,ローマ帝国を東からみる
二,ローマ帝国に貢献する
三,ローマ帝国を理解する
ローマ帝国と対峙した西アジア国家――アルシャク朝パルティアとサーサーン朝?????三津間康幸
一,「前史」としてのセレウコス朝時代
二,アルシャク朝パルティアの勃興
三,アルシャク朝パルティアとローマの抗争
四,バビロニア天文学・占星術の西方への伝播
五,アルシャク朝パルティアの滅亡,サーサーン朝の興隆
六,マニ教・ゾロアスター教・キリスト教
七,古代の最終戦争とサーサーン朝の滅亡,イスラームの到来
古代世界の経済とローマ帝国の役割?????池口 守
はじめに
一,古代経済史論争
二,生産活動と流通
三,帝国内の物資の輸送
四,交易の拡大
おわりに
焦 点―Focus
西アジアの古代都市?????春田晴郎
一,都市を基礎とする地域としない地域
二,ハカーマニシュ朝ペルシアの都市
三,ヘレニズム・アルシャク朝時代の都市とその変容
四,サーサーン朝ペルシア時代の都市
五,小結
ローマ帝国社会における女性と性差????? 髙橋亮介
はじめに――「祖国の母」リウィア
一,地方都市における女性の公的活動
二,属州エジプトのパピルス文書からみる女性
おわりに
ローマ帝国時代の文化交流?????田中 創
一,地中海の蠱惑
二,ラテン文化の東漸
三,言語と宗教の壁を超えて
「古代末期」の世界観?????南雲泰輔
一,「古代末期」と「世界」の表象
二,「世界」を把握する
三,「世界」を描き出す
内なる他者としてのキリスト教徒?????大谷 哲
はじめに
一,いつからローマ人はキリスト教徒を認識したか
二,ローマ人はどんなときにキリスト教徒を意識したのか
三,意識されない隣人,意識される他者としてのキリスト教徒
おわりに
三世紀の危機とシルクロード交易の盛衰?????井上文則
一,三世紀の危機論争
二,「三世紀」の実像
三,三世紀のユーラシア世界
四,ローマ帝国のシルクロード交易の盛衰
五,シルクロード交易衰退のローマ帝国への影響
六,関税収入減少への対応とローマ帝国の衰亡
コラム―Column
考古学の存在感とリアリティ?????冨井 眞
史料としてのラテン語碑文?????中川亜希
ナバテア王国の興亡とローマ帝国?????桑山由文
ローマ法の後世への影響?????佐々木健
忘れられた西部ユーラシアの歴史像――鈴木成高と宮崎市定?????井上文則

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さとうしん

21
従来「地中海世界」の括りで古代ギリシア史とセットで扱われがちだった古代ローマ史を、古代ギリシア史と切り離して西アジアとの関係を重点的に見ていこうという試みだと思うが、ローマ史はローマ史、西アジア史は西アジア史といった調子で、南川論文と井上論文以外はいまひとつうまくいってないような印象を受ける。巻末の井上コラムにあるように、西部ユーラシア史の試みはこれからということだろうか。西アジアに限らなければ、同時代のギリシア、女性、キリスト教徒などローマ帝国の中の他者の視点が意識されていて面白い。2023/06/09

MUNEKAZ

20
ローマ帝国を中心とした所謂「地中海世界」を脱し、同時代の西アジアとの連携も意識した論集。古代ギリシャとの縦軸ではなく、横軸の空間的な広がりを感じさせる内容で、過去の岩波講座とは視点が違うのだという意気込みを感じる。個人的には、古代ペルシャの庭園を重視した分散開放的な都市計画が、後のイスラム王朝の都市に影響を与えたのではという論考が興味深かった。ほかにも都市ローマではなく地方の属州を取り上げた論や、「帝国」に支配される側(ギリシャ人、女性、キリスト教徒)の心性に迫ったものが多いのも印象的である。2022/02/09

ピオリーヌ

16
副題を「ローマ帝国と西アジア」とし、前三~七世紀を扱う。ローマ帝国の歴史は、歴史学上の概念である「地中海世界」として古代ギリシア世界とともに扱われがちであったが、本書では同時代的な横のつながりを重視し、西アジアの大国家との関係性にも配慮されている。井上文則「三世紀の危機とシルクロード交易の盛衰」ではシルクロード交易衰退がローマ帝国の関税収入の減少を招き、三世紀の「危機」を引き起こしたという、東アジアの大国「漢」まで視野に入れた魅力的な説が紹介される。2022/06/19

kenitirokikuti

11
図書館にて。岩波講座 世界歴史03である。1969年に刊行開始の第1期岩波講座世界歴史では、前近代には小世界が併存し、15世紀以後に近代ヨーロッパの進出により一体化された、という世界史観であった。古代オリエント・南アジア・東アジア・内陸アジア・西アジア・地中海、中世欧州。例えば、弓削達のローマ史研究は地中海世界固有の市民共同体の運動法則を重視した。オリエントや西アジアとの影響関係は問われない。宮崎市定や鈴木成高は東西関係を重視していた。2021/12/18

赤白黒

5
所謂「地中海世界」の枠組みを取り払い、地域間の横の繋がりに着目する。時代はローマ帝国の興隆からイスラム勃興以前まで。冒頭に通史をおき、以下種々のトピックからなる論文集という構成だが、帝国内に生きる他民族、女性、他宗教など、従来歴史叙述の主役ではなかった人々に焦点が当たっているのが新しいと感じた。面白かったのは、広くユーラシア全域を視野に入れ、東西交易の盛衰について述べた井上論文。気候変動と3世紀に始まるユーラシア大動乱の関係が気になる。帝国内のキリスト教徒の動向について述べた大谷論文も面白かった。2024/12/06

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