内容説明
現代における自由への脅威とはなにか.なぜ自由は擁護されなければならないのか.自己決定や自己統治,セキュリティといったトピックと関係づけながら,人間の条件としての自由の概念を更新し,現代社会に生きる私たちの〈間〉にある公共の問題としてとらえ直す試み.他者とともに自由であることの条件をさぐる.
目次
目 次
はじめに
Ⅰ 自由概念の再検討
第 1 章 自由への脅威
1 近代における自由への脅威
2 現代における自由への脅威
第 2 章 消極的自由への批判
1 消極的自由と積極的自由
2 自由の質
3 形式的自由から実質的自由へ
4 内的制約の問題化
5 不作為の問題化
6 干渉なき自由から支配なき自由へ
7 政治的自由の再生
Ⅱ 自由の擁護
第 1 章 自由の再定義
1 自己への自由
2 自由の二つの次元──共約的次元と非共約的次元
第 2 章 自由の規律
1 自己を統治する自由
2 自己統治の問題性
第 3 章 自由と安全
1 安全としての自由
2 治安社会と自由
第 4 章 自由と公共性
1 自己隔離の「自由」を超えて
2 他者の自由の擁護
3 他者の自由への責任
結びにかえて
Ⅲ 基本文献案内
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
politics
3
バーリンの二つの自由概念等の議論を軸に、アレント、フーコーらの議論も参考に「自由」についてまとめられた一冊。なかでも、自由における共約/非共約的次元での整理の仕方は興味深く、本書の中でも軸になりうるものとも感じた。「自由」概念を考える際、やはり日本における「自由」と主に西洋諸国での「自由」の共通性、異動性をどう捉ええるかも重要な問題になるだろう。2021/11/13
遠山太郎
3
アレント「自由とは何か」『過去と未来の間』、フーコー「自由の実践としての自己への配慮の倫理」『思考集成X』を読んで再読しよう。文中の文献もあらかた読みたい。/フーコーやアレントを言うなら、バーリン消極的自由negative libertyから論じるのはミスリードな気が。近代リベラリズム=バーリンになるわけでなく、そう思ってるわけでもないんだろうけど..つまりは批判でなくても、もっと生産的にできるはず。バーリン「理想の追求」(選集4)を引いてるように単純でないし。1章良いのにFreedomの本だから?..2014/02/20
korouke
2
この高密度は異常。公共性の議論とからめた政治哲学上の「自由」の規範的な定義。んー読みにくい。2009/01/22
ステビア
1
充実した良い本と思います 自己への自由。2013/08/03
世人
0
バーリンの消極的自由概念の再検討をはじめとして、単に干渉からの解放に留まらない「自由」概念の諸相についての簡明な入門書。自己を排他的に支配する主権的自由という考えを否定し、絶えず他者と出会うことで、「今の自己」と異なる自己への変化をなしうることに「自由」を見出す箇所が出色。このような「運動の自由」こそ人間的事象に不可欠の部分であり、取り除かれるべきでないものであることを筆者は強く主張する。2024/03/14