思考のフロンティア第II期<br> 精神分析

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思考のフロンティア第II期
精神分析

  • 著者名:十川幸司
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 岩波書店(2018/03発売)
  • ポイント 10pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784000270014

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内容説明

今日の精神分析の危機とは,なにを意味するのか.精神分析の停滞の原因はどこにあるのか.「思考の経験としての精神分析」という視座から,精神分析を再開するための新たな理論的根拠を提示し,相互に深く絡みあっている臨床的な場と認識論的な場において,フロイト以降の精神分析経験のラディカルな更新を試みる.

目次

目  次
   はじめに

 Ⅰ フロイト以降の精神分析

 第 1 章 精神分析の現在
  1 思考の経験としての精神分析
  2 100 年後の現状
  3 精神分析の逡巡
  4 精神分析を再開する

 第 2 章 精神分析経験を拓く
  1 分析経験の拡大──メラニー・クライン
  2 精神分析経験の超越論的探究──ジャック・ラカン
  3 新たなる経験論──ウィルフレッド・ルプレヒト・ビオン

 Ⅱ 精神分析を再開する

 第 1 章 臨床的展開
  1 新たなる思考の経験に向けて
   精神分析的思考とは何か/連結としての転移
  2 経験の条件の再設定
   われわれの発達論/自己と四つの回路の形成/感覚の回路から情動の回路へ/欲動の回路から情動の回路へ/情動の回路から言語の回路へ/自己の作動と疾病の形成
  3 精神分析過程の理論化
   再び転移について/言語的インターコース/自己の変容と分離/分析家の自己の形成と倫理
 第 2 章 認識論的展開
  1 精神分析と他の思考
  2 精神分析と科学
  3 精神分析と哲学
  4 精神分析と芸術
  5 精神分析と社会

 Ⅲ 基本文献案内
   あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かもしか

15
岩波の"思考のフロンティア"シリーズの中の一冊。政治色の強いこのシリーズの中では、異色の透明感。精神分析を"思考の経験"と呼び、他者へと自らを開き、自らの可能性を拡大するとき、自己と世界との関係、他者と自己、自己の実存様式も新たなものに変容している。筆者は自己を実体的なものではなく、間主観的な"情動"を中心に、"情動"・"感覚"・"欲動"・"言語"のカップリングにおける形成物として捉える。この自己の回路の更新はその細部にまで、徹底的に繰り返し行われ、新たな自己身体の形成にまで及ぶ。春を待つ真冬の思考。2016/02/21

べっか

3
精神分析と哲学、芸術、科学、社会との関係が明確に示されていて有益だった。前半の精神分析の発達論的構造についても、異論を挟みたくなるまでに、著者による言及が先に挟み込まれる丁寧さ。2019/08/19

ひつまぶし

2
これで精神分析の全容が分かるわけではないだろうが、基本的な理解の枠組みや立ち位置を理解することはできた。神なき時代に不快と向き合うための技法が精神分析であり、科学、哲学、芸術、社会の四つの思考と関わりながら、その技法を洗練させていく。また、臨床にこだわるがゆえに体系化を目指さない、独特の思考と判断を持っている。しかし、不快の解消を至上命題と位置付けることで発展が制限されてしまう部分もあるだろう。そこに取り組んだフロムは今や精神分析の落とした影になっている。領域横断的な知の営みが必要だが、それでは食えない。2023/07/02

瀬希瑞 世季子

2
スターンの回路概念がAOにも通じるような奥行があって興味深かった。哲学、批評でしか精神分析に触れてこなかったので、臨床という視点から精神分析を考える本書はいろいろ刺激的だった。2022/09/20

azu3

1
初版2003年、著者44歳のモノグラフ。当時から思考することに秀でた方だったのね。既存理論の穴をついて、そこから自論を展開するのは当時から。そして、一人称が「われわれ」なのも。スターンの自己感を基にした“四つの回路”の話はとても興味深い。素敵だわ、十川先生。2023/01/27

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