思考のフロンティア第II期<br> 難民

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思考のフロンティア第II期
難民

  • 著者名:市野川容孝/小森陽一
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 岩波書店(2018/03発売)
  • ポイント 10pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784000270052

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内容説明

20世紀は難民の世紀であった.そもそも難民とはどのような存在であるのか,どのように発生してきたのか.難民というものを外部にいるのではなく,必然的に私たちの内側に抱え込まれている存在と考えるとき,国民国家の境界線を乗りこえてやってくる者たちに対し友愛や歓待は可能だろうか.グローバル化のなかで考察する.

目次

目  次
   はじめに(市野川容孝)

 Ⅰ 現代の人間の形象としての「難民」小森陽一

 第 1 章 「難民」と国家の「主権」

 第 2 章 「主権国家」から「国民国家」へ

 第 3 章 ベンハビブの「権利」の概念

 Ⅱ 難民とは何か市野川容孝

 第 1 章 難民条約と難民

 第 2 章 避難,流難,耐難──パレスチナ問題によせて──

 第 3 章 日本人と難民
   あとがき(小森陽一)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

寛生

41
【図書館】僕も難民なんだと認知するしかない。小森がアガンベンを引用しながら議論を展開しているのが興味深い。小森はアガンベンほど剥き出しの生、ホモ・サケルを表に出していない印象をもつ。が、所謂「日本国民」だからといって「難民」でない訳ではないし、日本国内での「難民」は数えきれないほどいるー派遣からネットカフェまで。僕も日々痛みを持って感じることは、どこそこの国で生まれて、その国の国民だからというきれいな一直線上には、「人間である」という域が、哲学的議論から日常的感覚まで、今日我々の中に大変欠落していること。2014/09/09

Mealla0v0

4
小森陽一は、アガンベン、アレントを念頭に、国民国家と難民問題の機制を論じている。WWIを念頭に、主権的締め出しによる剥き出しの生としての難民の発生過程を検討したあと、それが国民国家成立時の少数民族支配に同様の問題を見る。そして、「諸権利を持つ権利」についての思索が練られていく。他方、市野川は難民が持つ言葉の響きを検討する。難民とは、①受難民、②避難民、③流難民、④耐難民の位相にそれぞれ属する。特に興味深いのは、「満州難民」のくだりだろう。国民国家内での難民。今後、棄民を社会学で論じる上で読むべきテキスト。2017/12/23

ねこ

4
卒論のため。素晴らしい。2016/01/14

きゃのん

4
前半の章で、市民資格を政治的・経済的権利に分割することによる「脱国民国家」化の希望(言い過ぎ?)を見出していたヨーロッパだが、現在ではシリア難民問題に直面し、連帯は破綻しかけているように見える。この中で、日本に何ができるのか、、。最後、「国境を絶えず揺さぶり、相対化する回路を持ち続けること」が大切という結論。岡真理さんの本にも、自己の相対化の重要性があった気がする。そうすることが、他者の存在に目を向ける一歩なんですね。2015/10/09

sayan

2
カントの「歓待の条件」で、なぜ「定住権」が触れられていないのか、その背景が疑問だった。ヒントとなりそうな次の2箇所。p.50ベンハビフが、歓待の権利を「人権と市民的権利のあいだの我々の人格における人間性の権利と、我々が特定の共和国の成員である限り付与される権利のあいだの空間。p.139他者に対して国境を引く自分の権利より以前に、自分に対して他者が国境を引く権利の尊重で、それは、この原則を尊重するようにカントが求めているのは、ヨーロッパ人にではなく非ヨーロッパ人に対してであった。緒方の軍事介入箇所は要再読。2015/11/29

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