思考のフロンティア第II期<br> 環境

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思考のフロンティア第II期
環境

  • 著者名:諸富徹
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 岩波書店(2018/03発売)
  • ポイント 10pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784000270038

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内容説明

進行する環境破壊―われわれは,いかにしてこの環境を保全すべきか.環境破壊と持続可能な経済的発展というジレンマを抱えた問題を,「社会関係資本」という新しい視座を導入し,経済や社会との関係のなかで位置づけなおす.狭い意味での「環境保全」という枠組みを超えて,「環境」と「発展」の概念の更新をもめざす画期的な試み.

目次

目  次
   はじめに

 Ⅰ 環境と経済──対立か共存か

 第 1 章 経済学は環境をどのようにとらえてきたか
  1 資本主義経済システムと環境
  2 環境と経済の相互作用──経済学からのアプローチ

 第 2 章 「持続可能な発展」とは何か
  1 発展とは何か
  2 「強い持続可能性」と「弱い持続可能性」
  3 経済・社会・環境の持続可能性
  4 発展概念の豊富化とセンの「潜在能力」概念

 Ⅱ 自然資本としての環境と社会関係資本

 第 1 章 「社会資本」論から「社会的共通資本」論へ
  1 「資本」とは何か──フィッシャーの資本概念
  2 「私的」資本から「社会」資本へ
  3 自然資本としての環境
  4 社会的共通資本概念の再定義

 第 2 章 「社会関係資本」と持続可能な発展
  1 「社会関係資本」とは何か──資本概念のさらなる拡張
  2 社会関係資本と人的資本
  3 ブルデューの社会関係資本概念──社会批判の視角
  4 社会関係資本と市民社会論
  5 社会関係資本の蓄積と減耗──政府機能の構造変化
  6 経済のグローバル化と社会関係資本
  7 社会構造変動と社会関係資本

 第 3 章 持続可能な発展のための公共政策

 Ⅲ 基本文献案内
   あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Nさん

1
2003年刊行。経済学の観点から「環境」を捉えたと著者は述べるが、既存の経済学(市場)の枠だけでは環境を捉えきれないことが本書を読めば分かる。著者は環境をあらゆる人間活動を足らしめる基盤と考える。有形な環境だけに留まらず、無形だが確かに存在する「社会関係資本」に議論の射程は広がる。社会関係資本とは何か?簡単に言えば、コミュニティでありネットワークでもある。互恵性・信頼で結ばれた社会とそうでない社会では暮らしやすさは随分と変わってくるだろう。そして現代に至っては社会関係資本の消失が懸念されている。(→続く)2021/06/28

ああああ

1
持続可能な発展とは、「自然資本の賦存量が、最小安全基準に基づく決定的な水準の自然資本量を下回ってはならないという制約条件の下に、世代内公平性に配慮しながら、福祉水準(well-being)を世代間で少なくとも一定に保つこと。」 センは、「財・所得に対する支配権で福祉を評価しようとする客観評価アプローチと、効用で福祉を評価しようとする主観評価アプローチの両者の問題点を鋭く批判しながら、その両者の媒介項としての「機能」や「潜在能力」が福祉水準に寄与する役割を評価する理論枠組みを構築した。」(p.37-38)2020/03/28

まあい

1
「持続可能な社会」のために、自然環境だけでなく社会的な制度まで含めた環境を、いかに健全に保つか。社会的共通資本や社会関係資本についての入門書として最適な一冊。2017/05/18

令和の殉教者

0
著者は現代社会の課題について割とメディアや著書で問題点や解決策を提言している経済学者。本書は環境を経済学的な観点から捉え、政策提言を行う。なお、環境は自然環境だけでなく、広く社会的な環境も含む。市場をうまく機能させるには、外部の資本(=環境)から有用なものを引き出す必要がある。しかしやりすぎると環境が害され、市場にも悪影響がおよびうる。特に現代では、インフラ構築から自然環境や社会関係資本のストック水準維持へと重心を移すことで持続可能な発展が期待できる。行政はこのことを見据えて、環境に投資すべきだ。2018/12/29

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