内容説明
私たちは何者を身近な人間とし,何者を縁遠い者と想定するのか.自他を区別するこの文化地政学的境界設定の問題を,私たちの無意識化されている「言説編制」の問題として捉え直し,その変容する過程を跡付けつつ,他者認識や地政文化が流動化するなかで,リージョナルなものの再編のための新たな空間認識の可能性を探る.
目次
目 次
はじめに
Ⅰ 方法としての「リージョナリズム」
第 1 章 概念および問題設定
1 「リージョナリズム」──どのように用いるべきか?
2 歴史への「空間」の導入
3 ヨーロッパ=世界史を相対化する
第 2 章 戦争,革命,植民地
1 空間革命
2 「進歩」の外へ
3 表象の支配,空間の分割
小結 リージョナルなものの再編制
Ⅱ せめぎ合うリージョン──日本とアジア
第 1 章 日本とアジアの現在性を規定しているもの
1 日本人に見えない「アジア」
2 戦前日本の空間認識
3 戦後日本の「独立」と「従属」
4 冷戦体制とポストウォー/ポストコロニアル状況
第 2 章 余白のアジア,回帰するアジア
1 「戦後」の東アジア
2 冷戦/脱冷戦
3 東アジアの現在性
4 リージョナルなものと責任意識
Ⅲ 基本文献案内
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
瀬希瑞 世季子
3
ブローデルは、リージョナルなものの変容、境界設定の組み換えを認識様態(エピステーメ)の転換として論じる構えを通じて、フーコーの歴史の非連続性というテーマに接近していたと言える。不動の時間でも、事件史の時間でもない歴史的"偶然"としての「変動局面史」に重点を置いたことの重要性。2024/02/29
keepfine
1
戦後日本人の冷戦構造に付随したリージョナルな感覚は、戦前の「大東亜共栄圏」の地政図を戦後アメリカによる反共防衛ラインに重ね書きする作業において成立。例として、60年代の大東亜共栄圏肯定論や、日韓基本条約において植民地支配の賠償を実質的回避していることなど。竹内好は8.15を屈辱として記憶しようとした。その意味は、日本の「独立」が日米安保条約に規定された東アジアの冷戦体制への従属であることや、アジアとの敵対関係を維持した準戦時体制が徐々に構築されていことへの苛立ちだ。2018/03/16
manmachine
1
岩波のこのシリーズって要するにPC系の人がこぞって書いてるわけなんだけど、どれも本当に退屈だ。2009/10/28