内容説明
新しい世紀にむけたデモクラシーの深化と徹底化に不可欠な基本的主題とは何か.デモクラシー理念の歴史的展開を踏まえ,主権的国民国家とデモクラシーの問題や,「精神の自由」(リベルテー・モラル)論,相互承認論などを近代日本の民主主義的伝統に位置づけ直し,デモクラシー再生にむけた解釈学的復権の可能性を考える.
目次
目 次
はじめに──デモクラシーの再検討にむけて
Ⅰ 二つの民主主義
第 1 章 古代ギリシア型民主主義
1 政治的なるものとデーモス
2 民主主義の政治的メリット
3 言説的公共空間としてのポリス
第 2 章 近代西欧型民主主義
1 主権的国民国家とナショナルなもの
2 近代市民革命と自由民主主義
3 主権国家システム,デモクラシー,政治経済体制
Ⅱ デモクラシーの徹底化にむけて
第 1 章 精神の自由の問題
1 j.-j.ルソーと中江兆民のリベルテ・モラル論
2 ソクラテスと精神の自由
3 c.テイラーによる本来性の倫理と承認の政治
第 2 章 近代日本の民主主義的伝統 ──その解釈学的復権にむけて
1 明治時代をどう見るか──民主主義改革史観
2 ナショナル・デモクラシーと小国主義論
3 丸山眞男と「民主主義革命の完遂という課題」
Ⅲ 基本文献案内
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
D.Okada
4
奴隷制への依存、公的領域からの女性、在留外国人の排除など現代に照らすと若干の問題点はあるものの、言説的公共空間における討議によるデモクラシー、デーモス(大衆)の主体的直接的参加による自治など参考にすべき点はある。特に、最近はアリストテレス的な熟議(deliberation)が不足しているのも事実であり、現代の自由民主主義体制にいかに適応させていくのかも、現代人は為政者でなくとも検討しなくてはならないことだと思う。2010/10/11
politics
2
デモクラシーについて古代ギリシアからナショナル・デモクラシーまで素描し、日本の民主主義理論にも触れられている一冊。丸山眞男の民主主義論をどう捉えるのかは今なお考察に値する内容だと感じた。デモクラシーについて大まかに理解するには最適な書籍だと感じた。2020/03/08
砂糖 翠
0
リベルテ・モルテを主題としギリシアから戦後日本まで辿った一冊。一見入門書に見えて難解なところも少しあり。しかし、一貫した形で民主主義を概観できた一冊としてよかったです。2014/07/18
バーニング
0
前半は古代ギリシャ以降の民主主義の形成過程という、比較的オーソドックスな記述ではあるが、後半はエートスや心性を重視するデモクラシーとは何か、という部分に多くを割いている。日本の近代におけるデモクラシーの理解を概観している点は教科書としては例外的で、興味深い。2011/06/14
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