内容説明
西洋形而上学への厳密な問い直しである脱構築.それはデリダという固有名,彼の哲学的コンテクストのみに関係しているわけではない.「出来事としての脱構築」は,単なる分析の技法を越えて,現代の実践的諸問題への批判的介入を可能にし,新たなコンテクストを生成させる.それは我々の思考にどのような地平を切り拓くのか.
目次
目 次
は じ め に──21 世紀の読者へのイントロダクション
Ⅰ デリダと脱構築
第 1 章 脱構築という出来事
1 「構造」の時代の中から
2 「定義」の試み
第 2 章 エクリチュール・痕跡・差延──形而上学とその「外」
1 「フォーネー=ロゴス中心主義」の不安
2 二項対立から「差延」のエコノミーへ
Ⅱ 脱構築的コミュニケーション
第 1 章 フェミニズム──性的差異の舞台
1 フェミニズムの現在形
2 「ファルス中心主義」の脱構築
3 非‐固有性としての「女」
第 2 章 翻訳と他者の言語
1 クレオールと混成的アイデンティティ
2 翻訳の詩学と政治学
3 「母語」という幻想をこえて
第 3 章 手紙──エクリチュールの行程
1 宛先という謎──カフカ,1912 年
2 メッセージ・迂回・コミュニケーション
3 手紙としての存在
第 4 章 脱構築のエチカ──共同体なき結び合いへ
1 弔いの政治
2 二つの喪──責任=応答可能性の場所へ
3 共同体なき結び合い
Ⅲ 基本文献案内
あ と が き
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
30
#感想歌 脱構築構築そのものとおんなじどんな構造に何の意味が 題材は哲学文学社会学言語学が中心かもね 文献が多く十は読んだけど全部読めない背景がない #短歌 "construction is destruction", deconstruction may be too complex.2017/03/27
ふみすむ
5
脱構築による現代の諸問題への実践的な介入というテーマで、いちおう脱構築の入門書らしい。しかし、当の脱構築の概念は謎のままだ。 デリダの思想にも触れてみようと淡い興味で手に取ったものの、まったく理解できないというほどでもないが、正直予備知識の不足を痛感せずにはいられなかった。ソシュールの思想が思った以上にポスト構造主義に多大な影響を与えているのがわかったので、まずはそちらから読んでみることにしよう。2014/03/27
NICK
3
図書館で流し読み。批評理論としての脱構築を目当てに読んだが、全然ちがった。むしろ、東浩紀の郵便本のような、コミュニケーション論に多くを割いている本だった。個人的には最後の「戦後責任」「政治共同体」の論考が興味深かった。脱構築の観点から政治批判をするさまは入門書としてどうかとは思ったが、しっかり「歓待」や「友愛」というタームへのとっかかりになっている。「脱構築は正義である」というデリダの言葉を思い出させる政治論だった。2010/07/05
kabuki o.
2
なんでこのシリーズ横書きなんだ読みにくいなあ、と横書きで書く。2014/09/22
らんまる
2
記述が明快。多くの哲学者を引用しているが、その際に説明が豊富なので、非常に理解しやすい。2011/01/13