内容説明
市場の自動調整能力というイメージにもかかわらず,市場原理主義者の説明は,現実からますます乖離している.いかにして市場の暴走を食い止めうるか.「市場を我らの手に」という思考にむけた根本的転換への知的戦略とは何か.
目次
目 次
はじめに──近代社会の分裂
Ⅰ 市場理論のアポリア
第 1 章 戦後の知的状況と市場理論
第 2 章 新古典派経済学のパラドックス
第 3 章 アダム・スミスにおける同感の役割
第 4 章 ハイエクにおける歴史と個人主義
Ⅱ 市場とコミュニティ
第 1 章 「ウェーバーとマルクス」再論
第 2 章 企業社会における「共同性」の内実
第 3 章 市場の匿名性と暴力性
第 4 章 所有することの限界
終 章 市場原理主義の暴走
Ⅲ 基本文献案内
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なかりょう
13
25年前に執筆された内容であるが、市場原理主義に対する洞察・批判は今なお説得力を持っていると感じる。『自立性への要求と共同性への要求を同時に抱え込んだ近代的人間の分裂』、難解な言い回しではあるが、意味するところは現代にも当てはまる。就職氷河期世代の一員として、経済思想の学び直しも必要だと痛感。2024/06/02
ハラ
2
分量は控えめだが中身は濃い。近代的人間の分裂、方法的個人主義批判の観点から、過去の様々な経済学理論を剔抉する。経済学史概説としても有益。再読予定。2014/05/01
毛御安
1
私の論文とあまり関係ないけど、読んだら知識が増えた。2015/10/22
Sumiyuki
1
勢いを増す市場化による公共空間の喪失は近代的人間の分裂(自立性と共同性への欲求)を招いた。近代の政治哲学は「自立した個人」または「個人を拘束している全体」から議論を始める。しかしそれらは「強い個人」(自立性または共同性のどちらかの欲求しか持たない)を前提とするため近代的人間の分裂との折り合いがつかないため、論理の裂け目が生じる。筆者は「弱い個人」を前提に議論をすすめるべきとする。筆者の結論が具体的に何を指すのか理解できなかったが、おそらくセーフティネットと地方自治・地方分権だと思われる。2012/12/25
ハンギ
1
意外と良かった。この内容が1999年に書かれた事に驚愕。すでにグローバリズムの危険性については指摘されていた。市場主義が人間の共同性をすでに食破っており、私たち近代人は個人でありたい欲望と、集団でありたい欲望の二つに裂かれている、という指摘はよかった。また携帯電話なしにはいられない若者が、通信傍受法にはなぜ鈍感なのか。その分裂を指摘し、分析している。金子さんは新左翼にも2回言及しており、左派としても面白い人と思いました。ハイエクの言う個人は個人ではない、という批判も新左翼的市民観からきていると思う。2012/10/29
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