内容説明
己の内に「獣」を秘めた二人の青年を描く、大河伝奇小説。もはや、作家・夢枕獏の「生涯小説」となった、第9巻目は待望の書き下ろし! 前半は、雲南で幻獣に出会い、狂仏となった求法僧の数奇な体験を、後半は舞台を日本に移し、西域探検隊が持ち込んだ「キマイラの腕」を巡る、格闘家たちの熾烈な争奪戦を描き、幻獣化の謎に迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
21
過去の物語が延々と続く。記録の中に手記があり、過去の中の過去が語られる。それでもまだ語り切れない、そんな夢枕獏の、『キマイラ』という物語に対する執念が伝わってくる。後ろ髪を引かれるように、それでも物語はなんとか現代へと戻ってきた。しかしそこには、人の獣化と呼ぶには、まるで形容の足りない、異形すぎるほど異形な久鬼の姿があった。その異形すぎるほどに異形な姿は、『キマイラ』という物語の混沌さを象徴している。(つづく)2018/06/15
文庫フリーク@灯れ松明の火
14
ふたまわりは大きな虎の肉の量感をもったもの――その脚は四本以上あり、しかもその脚は背にも生えている――濃い獣毛に覆われた身体、ところどころに鱗(うろこ)が虹色に光る――人のような腕、ゴリラのような手、蛇の尾、ねじくれた無数の角、昆虫のようにしか見えない脚などが全身に生え――身体中から生え出た多数の頭部――トカゲのような頭、豹のような頭、鼠のような頭、口と牙しか無い頭――無数の頭部のひとつずつが鳥の囀るように鳴き、飢えた獣のように喉を鳴らす、哭く――その無数の頭部の一番巨大なひとつが人の顔を持ち→コメント2010/08/22
Tanaka9999
11
2010年発行、朝日新聞社のソノラマノベルス。えーとこのシリーズ、相変わらずです。過去の西域編が終わりようやく話が動き始めます。登場人物一覧付き、でもどういう人物かあまりよくわかっていません。分かっているのは1巻で登場した人物だけかもしれない。2024/10/06
柊龍司@中四国読メの会&読メ旅&読食コミュ参加中
11
久鬼玄蔵のキマイラに対する執着の一部が更に明らかになり、キマイラ化した麗一との邂逅に向けてやっと一歩進んだ最新刊。やっと新刊が出たのはうれしいが、ハードカバーで今後は最初に出しますといってたのはどうなったのだと声を大にして言いたい。前巻ハードカバーで揃え直した私がバカみたいじゃないのよ。2010/08/29
はかり
10
9巻目の狂仏変を読了したが、読メに出てこないので、玄象変に記する。今冊も戦闘シーンが多く楽しめた。大鳳が品詞の状態で師匠の雲斎の元に帰ってきた。雲斎と天善の戦いはどうなるのか。2025/03/21